1,500円貯金の使い道
2023年9月30日(土)
1,500円貯金のことは、これまでに3回もブログネタに
しました。3回目は2年余り前の2021年8月30日に
書いております(⇒こちらから)。
2018年の夏に、「世界バレエフェスティバル」を鑑賞後、
次の2021年の時にはAプロ、Bプロの両方観たい、でも
一度に2回分のチケット代5万円はきつい。その為には
毎月1,500円ずつ地道に貯金しよう、ということになり、
本当に3年間、地道に励み、54,000円が貯まりました。
ところがコロナ禍です。1988年の第5回目から、一度も
途切れることなく観てきた「世界バレエフェスティバル」。
迷った挙句、断念しました。
それからもう2年余りが経ち、来年はまた開催の年と
なりますが、今年の猛暑を経験して、8月の一番暑い
時に、上野まで2回足を運ぶのはもう無理ではないか、
と思うようになりました。貯金は手つかずのままです
ので、1回分は、別のことに使おうと考えていた時に、
NBSからのメールで、「パリ・オペラ座バレエ団」の
日本公演のお知らせがありました。エトワールに
昇格したオニール八菜さんが、「白鳥の湖」を踊ると
のこと。
気になっていたところに、新聞でオニール八菜さんの
黒鳥が絶賛されている記事を読み、貯金の半分は
こちらの公演に使い、残った半分で、来夏の「世界
バレエフェスティバル」に1回行くことに決めました。
公演は来年の2月ですが、チケットの予約は昨夜の
21:00開始。姉と二人で、どちらか早く席が確保できた
ほうで予約しよう、ということにして、15分前にスタンバイ
するためパソコンを開けたら、既に「申し訳ございません
が、只今大変混み合っております云々」の表示が出続け
て、なかなか繋がりません。やっと繋がった時には、S席
は完売、A席も△マークが。何とか2階席を確保して、
こちらの情報を入力し終えた、と思ったら、クレジットカード
が認証できないですって?!姉に代わってもらってやって
いるうちに、A席も完売となってしまい、結局3階サイドの
B席しか買えませんでしたが、座席は1列目なので、2階
の後方よりも却って良かったかな、とも思っています。
来年のことと思っていても、すぐなのですよね。昨年も
今頃、今年2月の「オペラ 源氏物語」のチケットを
取ってもらい、だいぶ先のことだなぁ、と思っていたのが、
もう半年以上前のこととなっているのですから。
いやはや、チケット確保に2時間も費やし疲れましたが、
貯金の新たな使い道が、楽しみなバレエ公演に決まり、
今からワクワクしています。
1,500円貯金のことは、これまでに3回もブログネタに
しました。3回目は2年余り前の2021年8月30日に
書いております(⇒こちらから)。
2018年の夏に、「世界バレエフェスティバル」を鑑賞後、
次の2021年の時にはAプロ、Bプロの両方観たい、でも
一度に2回分のチケット代5万円はきつい。その為には
毎月1,500円ずつ地道に貯金しよう、ということになり、
本当に3年間、地道に励み、54,000円が貯まりました。
ところがコロナ禍です。1988年の第5回目から、一度も
途切れることなく観てきた「世界バレエフェスティバル」。
迷った挙句、断念しました。
それからもう2年余りが経ち、来年はまた開催の年と
なりますが、今年の猛暑を経験して、8月の一番暑い
時に、上野まで2回足を運ぶのはもう無理ではないか、
と思うようになりました。貯金は手つかずのままです
ので、1回分は、別のことに使おうと考えていた時に、
NBSからのメールで、「パリ・オペラ座バレエ団」の
日本公演のお知らせがありました。エトワールに
昇格したオニール八菜さんが、「白鳥の湖」を踊ると
のこと。
気になっていたところに、新聞でオニール八菜さんの
黒鳥が絶賛されている記事を読み、貯金の半分は
こちらの公演に使い、残った半分で、来夏の「世界
バレエフェスティバル」に1回行くことに決めました。
公演は来年の2月ですが、チケットの予約は昨夜の
21:00開始。姉と二人で、どちらか早く席が確保できた
ほうで予約しよう、ということにして、15分前にスタンバイ
するためパソコンを開けたら、既に「申し訳ございません
が、只今大変混み合っております云々」の表示が出続け
て、なかなか繋がりません。やっと繋がった時には、S席
は完売、A席も△マークが。何とか2階席を確保して、
こちらの情報を入力し終えた、と思ったら、クレジットカード
が認証できないですって?!姉に代わってもらってやって
いるうちに、A席も完売となってしまい、結局3階サイドの
B席しか買えませんでしたが、座席は1列目なので、2階
の後方よりも却って良かったかな、とも思っています。
来年のことと思っていても、すぐなのですよね。昨年も
今頃、今年2月の「オペラ 源氏物語」のチケットを
取ってもらい、だいぶ先のことだなぁ、と思っていたのが、
もう半年以上前のこととなっているのですから。
いやはや、チケット確保に2時間も費やし疲れましたが、
貯金の新たな使い道が、楽しみなバレエ公演に決まり、
今からワクワクしています。
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「中秋の名月」
2023年9月29日(金)
今夜は「中秋の名月」。
ところが南関東の当地は、朝からどんよりと雲が漂って
いるではありませんか。午後になって時折陽射しもある
ものの、夕方買い物に出た時は、ポツリポツリと雨も
降って来る有り様で、これでは無理かなぁ、と諦めかけて
いました。
それでも、18:30頃からは気になって、東南のベランダに
15分置き位に出たり入ったりしながら、様子を窺って
いました。19:00過ぎには、雲の奥から少し光が感じられ、
その先に雲の切れ間があったので、もしかしたら、と、
期待が高まってまいりました。そして、19:30にスマホを
持って再度ベランダへ。
見えました!中秋の名月が、雲の絶え間より煌々と光を
放っている姿が・・・。
まさに「百人一首」79番・左京大夫顕輔の歌の世界です。
「秋風にたなびく雲のたえ間より漏れ出づる月の影のさやけさ」
(秋風にたなびく雲の途切れた間から、差し出ている月
の光の何と澄み切っていることよ)

相変わらずのピンボケ写真では「月の影のさやけさ」
はお伝え出来ませんが、実際のお月様は見惚れる
美しさでした。
でもひとつ残念なことが。「お財布ふりふり」を忘れちゃった
のです。次の満月の時を待ちます( ;∀;)
今年は和菓子屋さんではなく、生協の宅配のカタログに
可愛いうさぎのお饅頭が出ていたので、それを買いました。

小ぶりの薯蕷饅頭。お味も上々でした。
ついでにもう一つ。ブロ友さんの記事で紹介されているのを
見て、食べたくなった「かぼちゃバター」。すっかり気に入って
もう二度目です。最初の時は、写真を撮るよりも前にお腹に
納まってしまいました(^_^;)

バターを乗っけてレンジでチン。包丁ですっすっと
皮をむき、適当に切ってお醤油を少々。とっても
簡単で、しかも美味しい。私にとっては、嬉しい
かぼちゃの新レシピです。
今夜は「中秋の名月」。
ところが南関東の当地は、朝からどんよりと雲が漂って
いるではありませんか。午後になって時折陽射しもある
ものの、夕方買い物に出た時は、ポツリポツリと雨も
降って来る有り様で、これでは無理かなぁ、と諦めかけて
いました。
それでも、18:30頃からは気になって、東南のベランダに
15分置き位に出たり入ったりしながら、様子を窺って
いました。19:00過ぎには、雲の奥から少し光が感じられ、
その先に雲の切れ間があったので、もしかしたら、と、
期待が高まってまいりました。そして、19:30にスマホを
持って再度ベランダへ。
見えました!中秋の名月が、雲の絶え間より煌々と光を
放っている姿が・・・。
まさに「百人一首」79番・左京大夫顕輔の歌の世界です。
「秋風にたなびく雲のたえ間より漏れ出づる月の影のさやけさ」
(秋風にたなびく雲の途切れた間から、差し出ている月
の光の何と澄み切っていることよ)

相変わらずのピンボケ写真では「月の影のさやけさ」
はお伝え出来ませんが、実際のお月様は見惚れる
美しさでした。
でもひとつ残念なことが。「お財布ふりふり」を忘れちゃった
のです。次の満月の時を待ちます( ;∀;)
今年は和菓子屋さんではなく、生協の宅配のカタログに
可愛いうさぎのお饅頭が出ていたので、それを買いました。

小ぶりの薯蕷饅頭。お味も上々でした。
ついでにもう一つ。ブロ友さんの記事で紹介されているのを
見て、食べたくなった「かぼちゃバター」。すっかり気に入って
もう二度目です。最初の時は、写真を撮るよりも前にお腹に
納まってしまいました(^_^;)

バターを乗っけてレンジでチン。包丁ですっすっと
皮をむき、適当に切ってお醤油を少々。とっても
簡単で、しかも美味しい。私にとっては、嬉しい
かぼちゃの新レシピです。
不安が和らぐ入道の娘
2023年9月28日(木) オンライン「紫の会・木曜クラス」(第38回・通算85回・№2)
今週に入って、ようやく猛暑も収まり、秋の訪れが肌で
感じられるようになった、と思ったのも束の間、昨日から
再び残暑が戻って来て、今日は、今年90日目の真夏日
を記録した、とニュースでも報じておりました。明日まで
暑さは続くようですが、せめて綺麗な中秋の名月が望め
ますように・・・。
オンライン「紫の会」は、この第4木曜日クラスも、第3
月曜日クラスと同じく、第14帖「澪標」の、明石での姫君
の誕生を知った源氏が、京から乳母を派遣し、その乳母
が明石に着いたところ迄を講読しました。
源氏が明石に遣わした乳母は、父親は上達部、母親は
桐壺帝の宣旨だったという、由緒正しい上流の出自で、
仕える明石の入道家よりも格上でした。こうした異例とも
言える、源氏自らの乳母の派遣は、明石の入道にとって
は、「よろこびかしこまりきこゆること限りなし」(喜び恐縮
申し上げ上げるのはこの上ないこと)となりました。
入道の娘にとっても、源氏が帰京してからの7ヶ月余り、
物思いに沈んでばかりで、出産でいっそう心身も弱り果て、
生きる気力を失いかけていたのが、慰められたのでした。
このまま源氏に見捨てられたら、明石の地で、シングル
マザーとして、世間の目にも耐えながら暮らしてゆかねば
ならず、両親が亡き後のことなど考えると、上記のような
状態になっていたのも、当然でありましょう。ここで初めて、
自分たち母娘が源氏に見捨てられていないことがわかり、
急ぎ帰参しようとするお使いの者に、
「ひとりして撫づるは袖のほどなきに覆ふばかりの蔭を
しぞ待つ」(私一人で姫君をお育てするには力不足です。
あなたの大きなご庇護をお待ちしております)
と、源氏にすがるような思いで、手紙をしたためたのも
わかる気がしますね。
この場面、詳しくは先に書きました「全文訳」(5)でお読み
いただければと思います(⇒こちらから)。
今週に入って、ようやく猛暑も収まり、秋の訪れが肌で
感じられるようになった、と思ったのも束の間、昨日から
再び残暑が戻って来て、今日は、今年90日目の真夏日
を記録した、とニュースでも報じておりました。明日まで
暑さは続くようですが、せめて綺麗な中秋の名月が望め
ますように・・・。
オンライン「紫の会」は、この第4木曜日クラスも、第3
月曜日クラスと同じく、第14帖「澪標」の、明石での姫君
の誕生を知った源氏が、京から乳母を派遣し、その乳母
が明石に着いたところ迄を講読しました。
源氏が明石に遣わした乳母は、父親は上達部、母親は
桐壺帝の宣旨だったという、由緒正しい上流の出自で、
仕える明石の入道家よりも格上でした。こうした異例とも
言える、源氏自らの乳母の派遣は、明石の入道にとって
は、「よろこびかしこまりきこゆること限りなし」(喜び恐縮
申し上げ上げるのはこの上ないこと)となりました。
入道の娘にとっても、源氏が帰京してからの7ヶ月余り、
物思いに沈んでばかりで、出産でいっそう心身も弱り果て、
生きる気力を失いかけていたのが、慰められたのでした。
このまま源氏に見捨てられたら、明石の地で、シングル
マザーとして、世間の目にも耐えながら暮らしてゆかねば
ならず、両親が亡き後のことなど考えると、上記のような
状態になっていたのも、当然でありましょう。ここで初めて、
自分たち母娘が源氏に見捨てられていないことがわかり、
急ぎ帰参しようとするお使いの者に、
「ひとりして撫づるは袖のほどなきに覆ふばかりの蔭を
しぞ待つ」(私一人で姫君をお育てするには力不足です。
あなたの大きなご庇護をお待ちしております)
と、源氏にすがるような思いで、手紙をしたためたのも
わかる気がしますね。
この場面、詳しくは先に書きました「全文訳」(5)でお読み
いただければと思います(⇒こちらから)。
第14帖「澪標」の全文訳(5)
2023年9月28日(木) オンライン「紫の会・木曜クラス」(第38回・通算85回・№1)
オンライン「紫の会」の2クラスは、今月は第14帖「澪標」の
16頁・12行目~22頁・6行目迄を読みましたが、今日は
その後半部分に当たる、20頁・9行目~22頁・6行目迄の
全文訳となります。前半部分は、全文訳の(3⇒こちらから)
と(4⇒こちらから)をご覧下さい。
(頁・行数は、「新潮日本古典集成 源氏物語二」による)
宣旨の娘は、牛車で洛中は旅立って行きました。源氏の君は
腹心の家来を付き添わせなさって、他言無用と、きつく口止め
をなさって、お遣わしになりました。御佩刀や、しかるべき品々
などあれやこれやと窮屈なほどに、ご配慮の行き届かないこと
はありませんでした。宣旨の娘にも、乳母に対して例のないほど
の行き届いたお心遣いをお見せになりました。
明石の入道が、生まれた姫君を大切にお世話して慈しんでいる
であろう様子を想像するにつけても、思わず微笑まれることが
多く、また、しみじみといたわしくも、ただこの姫君のことが気に
かかられるのも、ご愛情が深いからこそでありましょう。
入道の娘へのお手紙にも、おろそかにお育てしてはならない、と
重ね重ねご注意がございました。
「いつしかも袖うちかけむをとめ子が世を経て撫づる岩のおひさき」
(一日も早く、私も自分の袖を掛けてみたいものだ。天女が長の
年月、羽衣の袖で撫でる岩の行く末が限りないものであるのを
願って)
宣旨の乳母一行は、摂津の国までは舟で行き、そこから先は馬で、
明石に急ぎ到着しました。
明石では入道が乳母の到着を待ち受けて、源氏の君のご配慮を
喜び、恐縮申し上げることがこの上もございません。京のほうを
向いて、拝み申し上げて、並々ならぬ源氏の君のお気持ちを思う
と、姫君のことがいよいよおいたわしく、空恐ろしいほどまでに
思われるのでした。赤児の姫君の本当に不吉に感じられるほど
可愛くていらっしゃるのはこの上ありません。
乳母は、なるほど源氏の君が、勿体ないような思し召しで、この
姫君を大切にお育て申し上げようとお考えになったのは、もっとも
なことだった、と拝見するにつけて、明石のような田舎に下って
来て、夢を見ているような気持がしていた嘆きも、消えました。
姫君がとても可愛らしく、愛しく思われて、乳母は姫君をお世話
申し上げるのでした。
入道の娘も、あれから幾月も物思いに沈むばかりで、いっそう
心身ともに弱って、生きる気力もなかったのですが、こうした
源氏の君のご配慮で、少し物思いも慰められて、頭を枕から
起こして、御使いにもまたとない程の心遣いの限りを尽くします。
御使いが、すぐに帰参したいと帰りを急ぎ、迷惑がるので、
入道の娘は、思うことのあれこれを少しお書きして、
「ひとりして撫づるは袖のほどなきに覆ふばかりの蔭をしぞ待つ」
(私一人で姫君をお育てするには袖が狭く力が及びません。
あなたの大きなご庇護をお待ちしております)
と、申し上げました。源氏の君は不思議なほど姫君のことが
気にかかり、早く見たいとお思いになっておりました。
オンライン「紫の会」の2クラスは、今月は第14帖「澪標」の
16頁・12行目~22頁・6行目迄を読みましたが、今日は
その後半部分に当たる、20頁・9行目~22頁・6行目迄の
全文訳となります。前半部分は、全文訳の(3⇒こちらから)
と(4⇒こちらから)をご覧下さい。
(頁・行数は、「新潮日本古典集成 源氏物語二」による)
宣旨の娘は、牛車で洛中は旅立って行きました。源氏の君は
腹心の家来を付き添わせなさって、他言無用と、きつく口止め
をなさって、お遣わしになりました。御佩刀や、しかるべき品々
などあれやこれやと窮屈なほどに、ご配慮の行き届かないこと
はありませんでした。宣旨の娘にも、乳母に対して例のないほど
の行き届いたお心遣いをお見せになりました。
明石の入道が、生まれた姫君を大切にお世話して慈しんでいる
であろう様子を想像するにつけても、思わず微笑まれることが
多く、また、しみじみといたわしくも、ただこの姫君のことが気に
かかられるのも、ご愛情が深いからこそでありましょう。
入道の娘へのお手紙にも、おろそかにお育てしてはならない、と
重ね重ねご注意がございました。
「いつしかも袖うちかけむをとめ子が世を経て撫づる岩のおひさき」
(一日も早く、私も自分の袖を掛けてみたいものだ。天女が長の
年月、羽衣の袖で撫でる岩の行く末が限りないものであるのを
願って)
宣旨の乳母一行は、摂津の国までは舟で行き、そこから先は馬で、
明石に急ぎ到着しました。
明石では入道が乳母の到着を待ち受けて、源氏の君のご配慮を
喜び、恐縮申し上げることがこの上もございません。京のほうを
向いて、拝み申し上げて、並々ならぬ源氏の君のお気持ちを思う
と、姫君のことがいよいよおいたわしく、空恐ろしいほどまでに
思われるのでした。赤児の姫君の本当に不吉に感じられるほど
可愛くていらっしゃるのはこの上ありません。
乳母は、なるほど源氏の君が、勿体ないような思し召しで、この
姫君を大切にお育て申し上げようとお考えになったのは、もっとも
なことだった、と拝見するにつけて、明石のような田舎に下って
来て、夢を見ているような気持がしていた嘆きも、消えました。
姫君がとても可愛らしく、愛しく思われて、乳母は姫君をお世話
申し上げるのでした。
入道の娘も、あれから幾月も物思いに沈むばかりで、いっそう
心身ともに弱って、生きる気力もなかったのですが、こうした
源氏の君のご配慮で、少し物思いも慰められて、頭を枕から
起こして、御使いにもまたとない程の心遣いの限りを尽くします。
御使いが、すぐに帰参したいと帰りを急ぎ、迷惑がるので、
入道の娘は、思うことのあれこれを少しお書きして、
「ひとりして撫づるは袖のほどなきに覆ふばかりの蔭をしぞ待つ」
(私一人で姫君をお育てするには袖が狭く力が及びません。
あなたの大きなご庇護をお待ちしております)
と、申し上げました。源氏の君は不思議なほど姫君のことが
気にかかり、早く見たいとお思いになっておりました。
初めて垣間見た浮舟の印象
2023年9月25日(月) 溝の口「湖月会」(第172回)
ようやく秋の訪れが感じられるようになって三日目。明日からは
また気温が上昇して、木曜日は再び真夏日(それも猛暑日に
近い)となる予報です。やっとエアコンの出番も終わったかな?
と思っていましたが、まだ数回は覚悟しておいたほうがよさそう
ですね。
今月は、第2金曜日クラスの例会が、台風で中止となったため、
同じ箇所を読んでいるこちらのクラスへの振替受講を選択なさ
った方が14名おられ、いつもの少人数の講読会とは異なり、
とても賑やかになりました。
そんな中で、第49帖「宿木」を読み終えました。それも私にしては
珍しく時間内にピタッと( ´艸`)
「宇治十帖」の中で最も長い「宿木」の巻ですが、本日講読した
最後の場面の舞台は宇治で、薫が、偶然八の宮邸に来合わせた
浮舟を垣間見て、心惹かれる様子が描かれています。
4月20日過ぎ、薫は、八の宮邸の寝殿を解体し、宇治の山寺へ
御堂として移築する工事の進捗状況の確認に出掛け、その足で、
今も八の宮邸に残っている弁の尼の許に立ち寄ります。
そこへ長谷寺に参詣した帰途、八の宮邸で中宿りをするために、
浮舟の一行がやってきました。
薫は、襖の穴から、腰が痛くなるまで熱心に浮舟の姿を見つめ
ます。先ずは、牛車から降りてくる浮舟の容姿が、ほっそりとして
上品で、「いとよくもの思ひ出でられるべし」(とてもよく亡き大君が
思い出されるようだ)とあります。
その後、弁の尼が挨拶に来て、浮舟は、弁の尼と向き合うのを
恥ずかしがって横を向いたため、薫からはとてもよく見えるように
なりました。「ただそれと思ひ出でらるる」(ただもう大君がそこに
居るように思い出される)ので、「涙おちぬ」(涙がこぼれ落ちた)
のでした。
薫は、浮舟との邂逅が嬉しく、すぐに傍に寄って「世の中におはし
けるものを」(あなた〈大君〉は生きていらしたのですね)と言いたく
なる程で、大君本人ではないけれど、「なぐさめ所ありぬべきさま
なり」(きっと心慰められるに違いない様子である)と、感じてお
ました。
こうしてみると、薫が浮舟に求めているのは、一目瞭然、大君の
身代わりということがわかりますね。浮舟自身ではありません。
あくまで大君の「形代(かたしろ)」として薫の中に位置づけられた
浮舟が、この先どのような運命を辿ることになるのか、いよいよ
次回の第50帖「東屋」から、浮舟をヒロインとした物語が始まります。
ようやく秋の訪れが感じられるようになって三日目。明日からは
また気温が上昇して、木曜日は再び真夏日(それも猛暑日に
近い)となる予報です。やっとエアコンの出番も終わったかな?
と思っていましたが、まだ数回は覚悟しておいたほうがよさそう
ですね。
今月は、第2金曜日クラスの例会が、台風で中止となったため、
同じ箇所を読んでいるこちらのクラスへの振替受講を選択なさ
った方が14名おられ、いつもの少人数の講読会とは異なり、
とても賑やかになりました。
そんな中で、第49帖「宿木」を読み終えました。それも私にしては
珍しく時間内にピタッと( ´艸`)
「宇治十帖」の中で最も長い「宿木」の巻ですが、本日講読した
最後の場面の舞台は宇治で、薫が、偶然八の宮邸に来合わせた
浮舟を垣間見て、心惹かれる様子が描かれています。
4月20日過ぎ、薫は、八の宮邸の寝殿を解体し、宇治の山寺へ
御堂として移築する工事の進捗状況の確認に出掛け、その足で、
今も八の宮邸に残っている弁の尼の許に立ち寄ります。
そこへ長谷寺に参詣した帰途、八の宮邸で中宿りをするために、
浮舟の一行がやってきました。
薫は、襖の穴から、腰が痛くなるまで熱心に浮舟の姿を見つめ
ます。先ずは、牛車から降りてくる浮舟の容姿が、ほっそりとして
上品で、「いとよくもの思ひ出でられるべし」(とてもよく亡き大君が
思い出されるようだ)とあります。
その後、弁の尼が挨拶に来て、浮舟は、弁の尼と向き合うのを
恥ずかしがって横を向いたため、薫からはとてもよく見えるように
なりました。「ただそれと思ひ出でらるる」(ただもう大君がそこに
居るように思い出される)ので、「涙おちぬ」(涙がこぼれ落ちた)
のでした。
薫は、浮舟との邂逅が嬉しく、すぐに傍に寄って「世の中におはし
けるものを」(あなた〈大君〉は生きていらしたのですね)と言いたく
なる程で、大君本人ではないけれど、「なぐさめ所ありぬべきさま
なり」(きっと心慰められるに違いない様子である)と、感じてお
ました。
こうしてみると、薫が浮舟に求めているのは、一目瞭然、大君の
身代わりということがわかりますね。浮舟自身ではありません。
あくまで大君の「形代(かたしろ)」として薫の中に位置づけられた
浮舟が、この先どのような運命を辿ることになるのか、いよいよ
次回の第50帖「東屋」から、浮舟をヒロインとした物語が始まります。
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