fc2ブログ

やっと会えた喜びの午後

2021年10月31日(日)

今日は衆議院総選挙、そしてハロウィン。選挙は今日のこの約束が
あったので、昨日、期日前投票で済ませてきました。

今日の約束とは、待ちに待った友人二人とのティータイム。もちろん
リモートではなく直に顔を合わせて、です。

以前はお茶を飲んだり、ランチをしたり、映画を観たり、日常的に一緒
に楽しめていたことが、コロナ禍でぷっつりと途切れてしまい、先ずは
ワクチン接種が終わったら、と約束して、その日を待ちわびていました。

7月の後半にワクチン接種が済み、8月になればと思っていたところへ
第5波の襲来。とても出掛けられる状態ではなくなってしまいました。

10月に入って新規感染者数が激減し、三人の都合のよい今日の午後、
ようやく実現したのです。

「星乃珈琲」で、ケーキセットを注文。食べる時にはマスクを外し、食べ
終わればまたマスクをつける、を繰り返すのはちょっと面倒でしたが、
まだこれは守らざるを得ません。それでも、ここで2時間近く粘って、
積もる話に興じました💦

三人とも主婦です。夕方が近づくと、「そろそろ帰らなくちゃ」となります。
名残惜しくて外に出てからもあっちで喋り、こっちで喋り。「まだ帰りたく
ないね」と、共に何度も口にしながら、お二人は別々の路線で帰途へ。

ちょっとスーパーに寄って外へ出ると、辺りは真っ暗になっていましたが、
やっと会えた喜びで、気分は明るくなっていました。

      星乃珈琲①
       「星乃珈琲」で三人が注文したケーキセット。
       やはりこの季節はモンブランですね。
       (変な光が入った写真でスミマセン。)


スポンサーサイト



弘徽殿の大后の怒り

2021年10月28日(木) オンライン「紫の会・木曜クラス」(第15回・通算62回 №2)

第2月曜日のクラスに続き、第4木曜日のクラスも、オンライン「紫の会」は
今回で第10帖「賢木」を読み終えました。

右大臣に密会の現場を押さえられた場面につきましては、第2月曜日の
クラスのほうで書きました(⇒こちらから)。今日はその続きとなります。

性急で短慮なところのある右大臣は、証拠の懐紙を携えて弘徽殿の大后
の許に行き、事の次第を訴えました。さあ、弘徽殿の大后の怒り爆発です。

ここに至るまでに、既に弘徽殿の大后の源氏に対する恨みには深いものが
ありました。先ず、左大臣家の姫君(葵の上)を、東宮(現・朱雀帝)の妃に、
と申し入れたところ、左大臣は、東宮の弟で臣籍に下った源氏を葵の上の
婿に迎えてしまいました。更に、弘徽殿の大后の妹の朧月夜も、東宮妃と
して入内することが決まっていながら、あの「花宴」の巻で、源氏と結ばれて
しまったがために、宮中に上がっても「女御」にはなれず、女官として仕える
形を取らざるを得ませんでした。すべて、源氏が原因で息子(朱雀帝)が
踏みにじられてきた、ということになります。

そして今回の密会事件。「花宴」では朱雀帝もまだ東宮でしたし、朧月夜も
入内前の出来事でした。でも今回は違います。息子は帝になっています。
朧月夜も正式の妃ではないものの、他の女御を圧倒して、誰よりも帝の寵愛
を受けている身なのです。

ここまで源氏によって帝である息子がないがしろにされれば、弘徽殿の大后
の怒り心頭に発するのも無理のないことでありましょう。

源氏の行為は帝を冒瀆するものだとする弘徽殿の大后の論理は、理に適った
ものであるだけに、読者は弘徽殿の大后に同情を寄せたくなるのです。

ややもすれば、弘徽殿の大后は『源氏物語』きっての悪女のように言われがち
ですが、近年は内館牧子さんの『十二単衣を着た悪魔』や、酒井順子さんの
『紫式部の欲望』などで、弘徽殿の大后に味方する見解が示されるようになり、
昔から、「弘徽殿の大后ほど割に合わない損な役割を担わされている女君は
いない」と、思ってきた私は、密かにこうした傾向に拍手喝采しているのです。

この「賢木」の巻のラストシーン、詳しくは先に書きました全文訳・第10帖「賢木」
(25)でご覧頂ければ、と存じます(⇒こちらから)。


第10帖「賢木」の全文訳(25)

2021年10月28日(木) オンライン「紫の会・木曜クラス」(第15回・通算62回・№1)

オンライン「紫の会」は、第2月曜クラスと第4木曜クラス、足並みを揃えて、
今月で第10帖「賢木」を読み終えました。

「賢木」の巻の最後として読んだのは、185頁・7行目~189頁・11行目迄
ですが、前半は月曜クラス(10/11)のほうで書きましたので(⇒こちらから
本日は、その後半部分(186頁・14行目~189頁・11行目)の全文訳です。
(頁・行数は、「新潮日本古典集成 源氏物語二」による)

右大臣は、思ったことをそのまま胸に納めておくことが出来ない性格である
上に、いっそう老いの偏屈さまでもが加わっておられるので、どうして躊躇
なさったりすることがございましょうか。即座に弘徽殿の大后にも訴え申され
ました。

「これこれしかじかの次第です。この懐紙に書かれているのは右大将(源氏)
のご筆跡です。昔のことも親の許しもなく始まってしまったことでしたが、
源氏の君の人物に免じて何もかも許して婿として世話をしよう、と言いました
折には、源氏の君は意にも介さず、失敬な態度をお取りになったので、
面白くなく存じましたが、これも前世からの定めと思い、帝がまさかキズ物だ
ということで娘をお見捨てになることもあるまい、と頼みにして、このように
初心を貫いて帝の許に差し出しながらも、やはりそのことでの遠慮もあり、
堂々と女御などとも名乗らせずにおりますことさえ物足りなく、残念に思って
いましたところに、またこのようなことまでございましたので、改めてとても
情けない気持ちになってしまいました。男にはありがちなこととはいえ、源氏
の君も酷くけしからぬお心でありますよ。斎院にも相変わらず畏れ多くも
言い寄っては、こっそりとお便りを交わしなどして、ただならぬ様子だなどと、
人が話しておりましたのも、帝の治世のためだけではなく、源氏の君自身に
取っても良くないはずのことなので、よもやそんな無分別なことをなさるはず
はあるまい、当代の識者として、天下を従えていらっしゃる様子は格別のよう
なので、源氏の君のお心を疑いはいたしませんでした」などとおっしゃると、
大后は一層激しいご気性なので、とてもご不興の面持ちで、

「同じ帝と申しても、昔から皆、今上帝(朱雀帝)のことをあなどり申し上げて、
致仕の大臣(左大臣)にしても、この上なく大事に育てていた一人娘(葵の上)
を、兄の東宮である方(現・朱雀帝)には差し上げないで、弟の臣籍に下った
まだ年端もゆかぬ方(源氏)の元服の副臥に決めて、またこの君(朧月夜)
をも、東宮への入内を心積もりしておりましたのに、愚かで恥さらしな有様に
なったのを、誰も誰もおかしなことだとお考えだったでしょうか。お父様
(右大臣)をはじめ、皆、源氏の君にお味方なさるようでしたが、その当てが
外れた具合になって初めて、女官として出仕なさったようですが、可哀想で、
何とかして女官という立場でも他の女御方に劣らぬようにお世話して
差し上げよう、あんな憎らしいことをした人(源氏)の手前もあるし、などと
思っておりましたが、彼女(朧月夜)はこっそりと自分の気に入った人(源氏)
に靡いてしまったのでありましょう。斎院との仲だって、いよいよもって
忍び逢う位のことはなさっているでしょうよ。源氏の君が何事につけても、
帝の御ために安心できないと思えるのは、東宮(のちの冷泉帝)の御代に
寄せる期待が格別な人なので、それも無理のないことなのでしょう」と、
容赦なくおっしゃり続けるので、右大臣もさすがに聞き苦しくなり、なんで
大后にご注進などしてしまったのか、とお思いになって、

「まあまあ、このことはここだけの話にしておこう。帝にも申し上げなさい
ますな。このような罪を犯したとしても帝がお見捨てになることはあるまいと
思って、あの子(朧月夜)はいい気になっているのだろう。あなた(弘徽殿の
大后)から内々に意見なさって、それでも言うことを聞かないというのでしたら、
その責任は私が負うことにいたしましょう」と、お取りなし申されますが、
特に弘徽殿の大后のご機嫌が直ることはありませんでした。

こんなふうにご自分(弘徽殿の大后)が同じ邸にいらして隙もないのに、
遠慮もせずに、そのように忍び込んでこられるというのは、わざと自分を
軽んじ愚弄なさっているのだ、とお考えになると、いっそうひどく腹立たしくて、
この機会に源氏の君を失脚させることを企てるには、よいきっかけだと
思い巡らされていたでありましょう。
                             第10帖「賢木」 了

                                 

「椎本」から「総角」へ

2021年10月25日(月) 溝の口「CD源氏の会」(第2回・通算142回)

新型コロナの感染者数の激減は歓迎すべき現象ですが、ちょっと
不気味なくらいです。今日の東京の感染者数は17人、ここ神奈川
では何と一桁の7人です。先月の初め頃迄は共に四桁だったのが、
嘘のような数字になってきています。

パソコンに録音をして、それをCDに書き込む試みの2回目。前回の
10月8日は、まだ半袖を着て、窓も開け放していたのに、今日は暖房
を入れてパソコンに向かいました。この2週間余りの間に秋が一気に
深まった感じです。

今回の「CD源氏の会」は、第46帖「椎本」を読み終え、第47帖「総角」
に少しだけ入りました。

第45帖「橋姫」と第46帖「椎本」で、「宇治十帖」の物語の布石が次々
と打たれて、次の「総角」で大きく展開してゆくことになります。

薫は大君に強く心惹かれ、これまでの道心もどこへやら、大君との
結婚を望むようになっております。ただ薫は普通の男君とは異なり、
いずれ大君は自分の妻になる人と信じて、のんびりと構えている
ところがあり、大君が許す気持ちにならない限り、無体な振る舞いに
及ぶようなことはすまい、「昔の御心忘れぬかたを、深く見知りたまへ」
(亡き八の宮とのお約束を自分が忘れてはいないということを、大君に
充分にわかっていただきたい)と思っているのでした。

実はこの「昔の御心」(八の宮の遺言)というのが、薫と大君とでは
くいちがっており、薫は、大君と結婚して、終生姫君たちのお世話を
引き受けることだと思っていますし、大君のほうは、軽々しく結婚など
せず、宇治で生涯を終えるつもりでいるように、と父宮より言われた
ことを守ろうとしておりました。

悲劇の根源は八の宮の矛盾した遺言にあり、と言っても過言ではない
と思われるほど、この先二人の気持ちのズレが拡大しながら、大君が
ヒロインを務める「総角」は進んでまいります。

「椎本」は、薫の垣間見の場面で終わっていますが、その垣間見に
つきましては、オンラインクラスで読んだ時にとりあげましたので、
ご参照頂ければ、と存じます(⇒こちらから)。


「国宝・源氏物語絵巻(東屋一)」の場面を読む

2021年10月20日(水) 湘南台「源氏物語を読む会」(第226回)

湘南台クラスもコロナ禍での例会は、20ヶ月中、今日が4回目で、
高座渋谷クラス同様、半年ぶりとなりました。何とかリバウンド無し
で、このまま読了迄続けて行けたら、と願っています。

オンラインクラスやCDクラスでもお話しておりますが、名古屋の
「徳川美術館」で11/13~12/12迄、額面装から巻子装に、全巻が
戻った完成記念の特別展が開催されます。

ちょうど今回読んだ場面が、絵巻(「東屋・第一段」)に描かれて
おりますので、そこをご紹介しておきたいと思います。

偶然匂宮に見つけられて言い寄られた浮舟は、匂宮の母・中宮の
体調不良を伝える使者がやって来たことで、事無きを得ましたが、
大きなショックを受けていました。そんな浮舟を、中の君は自分の
部屋に呼んで、物語絵を見せて慰めるのでした。

   Scan2021-10-20_223223.jpg
 洗髪を終えて、長い豊かな髪を乾かすために女房に梳らせて
 いる左下の後姿が中の君。絵ではわかりませんが、この時、
 中の君は、「いとあはれなる人の容貌かな。いかでかうしも
 ありけるにかあらむ」(本当にしみじみ懐かしいお顔立ちだこと。
 どうしてこんなにも亡き大君によく似たのだろう)と、感慨深げに
 浮舟を見つめております。浮舟は顔を隠すのも忘れ、物語絵を
 「心に入れて見たまへる」(夢中になってご覧になっている)の
 でした(左上が浮舟)。二人の間で物語の詞書を読んでいる
 のは女房の右近です。このように 当時、絵を見ながら、詞書
 を聴いて物語を享受する、という方法があったのを、知ることの
 出来る場面でもあります。右手の二人は女房です。

なお、特別展は前期と後期で展示替えとなり、この「東屋・第一段」は、
後期(12/1~12/12)の展示となります。


「紫の会」もCD講座を開始

2021年10月18日(月) CD「紫の会」(第1回 通算48回)

今日は午前中に胃の内視鏡検査を受けてきました。コロナ禍
で、昨年はパスしてしまったため、ワクチン接種が終わった時
から「受けよう」と思っていましたが、直後第5波の襲来となって、
予約しないまま、3ヶ月近くが経ってしまいました。1週間前に
クリニックに予約に行くと、「今は予約が混んでいて、来年の
1月以降になるのだけれど、丁度来週1件キャンセルが出た
ので、そこでどうですか」と言われ、思い掛けず早くに受ける
ことが出来ました。初めての鼻からの内視鏡でしたが、終わって
から1時間休む必要もなく、そのまま身支度をして、検査結果を
聞き、帰宅できるのは有難いと思いました。検査中は、麻酔が
効いている口からの内視鏡のほうが楽ですが、今後も鼻からの
ほうを選ぶことになりそうです。結果は特に異常なし、でした。

午後は先行クラスで始めたのと同様、「紫の会」の、会場での
再開を待っておられる皆さまを対象とした、CD講座の録音を
しました。「紫の会」のほうは月に1回ですので、12月までに3回。
とてもオンラインクラスに追いつくことは出来ませんが、少しでも
差を詰めておきたいと思っております。

やはり1年8ヶ月、間が空きましたので、第9帖「葵」の最初からを
簡単に纏めてお話し、その後、昨年の2月に読んだところの続き
に入りました。

若紫が10歳で、半ば誘拐のような形で源氏の自邸である二条院
に連れて来られて丸4年。ここで初めて二人は夫婦としての契りを
交わします。源氏を父か兄のように慕い親しんできた若紫にとって、
それはこの上なくショックな出来事でした。源氏がどんなに機嫌を
とろうとしても、気持ちの整理がつかず、拗ねている紫の上(ここ
から貴人の妻への敬称「上」を使い「紫の上」とします)のいじらしさ
が活写されている場面です。詳しくはオンライン講座で読んだ時の
記事(⇒こちらこちら)と、全文訳(⇒こちらこちら)をご覧下さい。

ところで、今日は「十三夜」でした。先月の「中秋の名月」が綺麗に
見えたので(その記事は⇒こちらから)、今夜の「十三夜の月」も
見えますように、と願っていた甲斐あって、一時雲に隠れることも
ありましたが、美しい姿を現してくれました。御蔭で今年は「片月見」
となることなく、良かったです。

        十三夜
        私のスマホでは「十五夜」も「十三夜」も
        区別がつかないピンボケぶりですが、
        ちょっと控え目な感じでした。
      

栗の渋皮煮

2021年10月17日(日)

10月の前半は夏のような暑さが続き、ずっと半袖で過ごしましたが、
ここへ来て急に、涼しいを通り越して寒いくらいになり、慌てて長袖を
引っ張り出して着ました。

毎年ご近所の方が、大きくて立派な栗をくださるのですが、今年も
頂戴しました。

先日、いつもライフハック情報を載せておられる方のブログに、
「栗の皮むきの裏ワザ」、が紹介されておりました。「よし、今年は
これで試してみよう」と思い、生栗をそのまま冷凍しました。そして
今日、それを取り出しボールに入れ、熱湯をかけてそのまま5分間
放置。冷凍されていた栗ですから、お湯はもう手を入れても熱く
ありません。

包丁でちょっと切れ目を入れ、一箇所皮を浮かせると、あとは手で
剥けます。それもさほど大変ではなく、ペリッ、ペリッ、という感じで。

その後はいつもと同じ手順で、重曹をいれたお水で二度湯でこぼし、
砂糖水で40分コトコト。昨年は重曹を入れ過ぎて、湯でこぼしの段階
で既にボロッと崩れてしまう栗もあったので、今年は重曹を控え目に
しました。最後にブランデーで香りづけをして出来上がり。

鬼皮を剥く段階で、新方法がとても楽だったので、「栗の渋皮煮」は
今年が一番早く、しかも綺麗に仕上がった気がします。

    渋皮煮①
   ブログ用の写真を撮るため、まだ冷めていない栗を取り出し
   お皿に盛りました。今はまたお鍋の中に戻してあります。
   さて、お味のほうはどうでしょうか?  


三島deランチ「割烹・菱屋」

2021年10月13日(水)

トータルで5回通ったこの度の歯の治療ですが、一応今回で終了
ということで、今日は姉の家の近くに住む親戚の者たちも一緒に
ランチをすることになりました。

姉が予約してくれたのは「みしまプラザホテル」内の「割烹・菱屋」。
私は今回で3度目でしょうか。三島駅からは徒歩で15分位かかり
ますので、ちょうど雨が降り始めた今日のようなお天気では困る
ところでしたが、親戚の者に車で駅まで迎えに来てもらえたので、
とても助かりました。

「割烹・菱屋」は、もともと「菱屋旅館」という老舗旅館だったそうで、
今も、旅館のお部屋をそのまま個室として利用している感じです。
ですから全室個室で、とても広々としていて、気持ちの良い空間
です。目の前に広がる日本庭園を望みながらのお食事は、癒しの
ひと時を味わうことが出来ます。

お料理も私好みで、特に昆布〆の真鯛を薄切りにして、しっかりと
味の付いたすし飯の上に乗せた「鯛ちらし」は、ここでのお食事では
絶対に外せない一品ですね。

     ひしや①
     お天気が良ければちょっとお庭に出て写真を
     撮りたかったのですが、これは室内からです。

   ひしや②
    お料理はどれも文句なしに美味しかったです。
    左下がその絶品「鯛ちらし」。明日もう一度どう?
    と言われても、喜んで、と、答えるでしょう。


ついに発覚!

2021年10月11日(月) オンライン「紫の会・月曜クラス」(第15回・通算62回・№2)

今日も30度近くまで気温が上がり、もう10月も中旬となっているのに、
いつまでこんな夏のような日が続くのかしら?と思っていましたが、
どうやら今日までのようです。明日は5度位、明後日は更にそれより
5度位下がる(つまり今日よりも10度低い)との予報に、随分と急変
するものだとびっくりですが、身体が負けないように注意しなければ
なりませんね。

オンライン「紫の会」では、予定通り第10帖「賢木」を今回で読み終え、
残った時間で、少しだけ「変体仮名」についてのお話をしました。
来月からは版本「絵入り『源氏物語』」を使って、第11帖「花散里」を
変体仮名で読んでいく予定です。

弘徽殿の大后も滞在中の右大臣邸で、夜な夜な里下がり中の朧月夜
と密会を重ねていた源氏は、とうとう右大臣にその現場を押さえられて
しまいました。

雷雨で人が多く集まってきてしまい、帰り損ねた源氏は朧月夜と二人、
御帳台(天蓋付きのベッド)の中で身を潜めておりました。お見舞いに
来られた右大臣が、部屋に入って来るやいなや、話しかけてこられた
ので、朧月夜は仕方なく、御帳台からにじり出ました。すると、ことも
あろうに、源氏の直衣の帯が、朧月夜の着物に引っ掛かっていて、
それが右大臣の目に留まってしまいました。そればかりか、源氏が
すさび書きをした懐紙までもが落ちていたのです。

これで万事休す。右大臣は御帳台の中にしらーっと横たわっている
源氏を見つけ、怒りに任せてその懐紙を手に、弘徽殿の大后のもとへ
いらしたのでした。ここまでが本日の講読箇所の前半となります。

「尚侍の君(朧月夜)は、われかのここちして死ぬべくおぼさる。大将殿
(源氏)も、いとほしう、つひに用なきふるまひのつもりて、人のもどきを
負はむとすることとおぼせど、女君の心苦しき御けしきを、とかくなぐさめ
きこえたまふ」(朧月夜は正体もなく、生きた心地がなさいません。源氏
の君も、「いやまいったな、とうとうつまらない振舞いが重なって、世間の
非難を受けることになるのか」とお思いですが、朧月夜の痛々しげな
ご様子なのを、あれこれと慰め申し上げていらっしゃるのでした)。

これが左大臣に見つかってしまった時の朧月夜と源氏です。

ここまでずっと情熱の赴くままに行動してきた朧月夜が、父・右大臣に
見つけられたことで、ようやく事の重大さに気づいたことを示しています。
一方の源氏は、「あーあ、とうとうバレちゃった、参ったな」程度の感覚
で、うろたえている朧月夜とは対照的に、どこか他人事のようです。

この異なる反応に、二人の思い入れの差が感じられる書きぶりですね。

詳しい内容につきましては、先に記しました「賢木の全文訳(24)を
ご覧くださいませ(⇒こちらから)。


第10帖「賢木」の全文訳(24)

2021年10月11日(月) オンライン「紫の会・月曜クラス」(第15回・通算62回・№1)

今月からまた第2月曜日に戻ったでオンライン「紫の会」の月曜クラスですが、
本日で、第10帖「賢木」を読み終えました。

今日読んだのは、185頁・7行目~189頁・11行目迄ですが、その前半部分
(185頁・7行目~186頁・13行目)の全文訳です。後半は木曜クラス(10/28)
のほうで書きます。

今回の全文訳は短めですが、源氏と朧月夜との密会の現場を、右大臣に
押さえられてしまう重大な場面となります。

(頁・行数は、「新潮日本古典集成 源氏物語二」による)

朧月夜はとても困ったとお思いになって、御帳台からそっとにじり出てこられ
ましたが、お顔がたいそう赤くなっているのを、右大臣は、「まだご気分が
お悪いのだろうか」とご覧になって、「どうしていつもとご様子が違っている
のか。物の怪などが憑りついていると厄介だから、修法を続けさせるべき
だったなぁ」とおっしゃるのでしたが、薄二藍色の直衣の帯が朧月夜の
お召し物にからまって引き出されているのをお見つけになって、「変だ」と
お思いになったところ、その上また、懐紙で、すさび書きなどをしたものが、
御几帳の下に落ちていました。これはどういうものなのだ、と右大臣は
おのずと動転なさって、「これは誰のものですか。見慣れぬものですね。
こちらにお渡しなさい。それを手に取って誰の物か調べましょう」と右大臣
がおっしゃったので、朧月夜は振り返って見て、ご自身もそれをお見つけに
なりました。取り繕いようもないので、何とお返事申し上げられましょうか。

朧月夜が正気を失ったような状態でいらっしゃるのを、我が子ながらも身の
置き所も無いと思っておられるはず、と、右大臣ほどのご身分の方なら、
斟酌なさるべきですよね。けれど、とてもせっかちで、ゆったりとしたところの
おありでない右大臣が、前後の見境も無くなられて、懐紙を手に取りなさるや
いなや、几帳から御帳台の中を覗き込まれると、たいそうひどく艶めかしい
様子で、臆面もなく添い臥している男までがいたのです。今になって、そっと
顔を引き隠して、あれこれと取り繕っています。右大臣は呆れ果て、心外で
腹立たしいけれど、面と向かってはどうしてあばき立てられましょうか。

目の前も真っ暗になった気がするので、この懐紙を持って弘徽殿の大后の
おられる寝殿へとお出でになりました。朧月夜は正体もなく、生きた心地も
なさいません。源氏の君も、「いやまいったな、とうとうつまらない振舞いが
重なって、世間の非難を受けることになるのか」とお思いですが、朧月夜の
痛々しげなご様子なのを、あれこれと慰め申し上げていらっしゃるのでした。


訪問者カウンター