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1,500円貯金の使い道

2023年9月30日(土)

1,500円貯金のことは、これまでに3回もブログネタに
しました。3回目は2年余り前の2021年8月30日に
書いております(⇒こちらから)。

2018年の夏に、「世界バレエフェスティバル」を鑑賞後、
次の2021年の時にはAプロ、Bプロの両方観たい、でも
一度に2回分のチケット代5万円はきつい。その為には
毎月1,500円ずつ地道に貯金しよう、ということになり、
本当に3年間、地道に励み、54,000円が貯まりました。

ところがコロナ禍です。1988年の第5回目から、一度も
途切れることなく観てきた「世界バレエフェスティバル」。
迷った挙句、断念しました。

それからもう2年余りが経ち、来年はまた開催の年と
なりますが、今年の猛暑を経験して、8月の一番暑い
時に、上野まで2回足を運ぶのはもう無理ではないか、
と思うようになりました。貯金は手つかずのままです
ので、1回分は、別のことに使おうと考えていた時に、
NBSからのメールで、「パリ・オペラ座バレエ団」の
日本公演のお知らせがありました。エトワールに
昇格したオニール八菜さんが、「白鳥の湖」を踊ると
のこと。

気になっていたところに、新聞でオニール八菜さんの
黒鳥が絶賛されている記事を読み、貯金の半分は
こちらの公演に使い、残った半分で、来夏の「世界
バレエフェスティバル」に1回行くことに決めました。

公演は来年の2月ですが、チケットの予約は昨夜の
21:00開始。姉と二人で、どちらか早く席が確保できた
ほうで予約しよう、ということにして、15分前にスタンバイ
するためパソコンを開けたら、既に「申し訳ございません
が、只今大変混み合っております云々」の表示が出続け
て、なかなか繋がりません。やっと繋がった時には、S席
は完売、A席も△マークが。何とか2階席を確保して、
こちらの情報を入力し終えた、と思ったら、クレジットカード
が認証できないですって?!姉に代わってもらってやって
いるうちに、A席も完売となってしまい、結局3階サイドの
B席しか買えませんでしたが、座席は1列目なので、2階
の後方よりも却って良かったかな、とも思っています。

来年のことと思っていても、すぐなのですよね。昨年も
今頃、今年2月の「オペラ 源氏物語」のチケットを
取ってもらい、だいぶ先のことだなぁ、と思っていたのが、
もう半年以上前のこととなっているのですから。

いやはや、チケット確保に2時間も費やし疲れましたが、
貯金の新たな使い道が、楽しみなバレエ公演に決まり、
今からワクワクしています。


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「中秋の名月」

2023年9月29日(金)

今夜は「中秋の名月」。

ところが南関東の当地は、朝からどんよりと雲が漂って
いるではありませんか。午後になって時折陽射しもある
ものの、夕方買い物に出た時は、ポツリポツリと雨も
降って来る有り様で、これでは無理かなぁ、と諦めかけて
いました。

それでも、18:30頃からは気になって、東南のベランダに
15分置き位に出たり入ったりしながら、様子を窺って
いました。19:00過ぎには、雲の奥から少し光が感じられ、
その先に雲の切れ間があったので、もしかしたら、と、
期待が高まってまいりました。そして、19:30にスマホを
持って再度ベランダへ。

見えました!中秋の名月が、雲の絶え間より煌々と光を
放っている姿が・・・。

まさに「百人一首」79番・左京大夫顕輔の歌の世界です。
「秋風にたなびく雲のたえ間より漏れ出づる月の影のさやけさ」
(秋風にたなびく雲の途切れた間から、差し出ている月
の光の何と澄み切っていることよ)  

     中秋の名月①
 相変わらずのピンボケ写真では「月の影のさやけさ」
 はお伝え出来ませんが、実際のお月様は見惚れる
 美しさでした。

でもひとつ残念なことが。「お財布ふりふり」を忘れちゃった
のです。次の満月の時を待ちます( ;∀;)

今年は和菓子屋さんではなく、生協の宅配のカタログに
可愛いうさぎのお饅頭が出ていたので、それを買いました。

   月見団子
     小ぶりの薯蕷饅頭。お味も上々でした。

ついでにもう一つ。ブロ友さんの記事で紹介されているのを
見て、食べたくなった「かぼちゃバター」。すっかり気に入って
もう二度目です。最初の時は、写真を撮るよりも前にお腹に
納まってしまいました(^_^;)
 
    かぼちゃバター
  バターを乗っけてレンジでチン。包丁ですっすっと
  皮をむき、適当に切ってお醤油を少々。とっても
  簡単で、しかも美味しい。私にとっては、嬉しい
  かぼちゃの新レシピです。


不安が和らぐ入道の娘

2023年9月28日(木) オンライン「紫の会・木曜クラス」(第38回・通算85回・№2)

今週に入って、ようやく猛暑も収まり、秋の訪れが肌で
感じられるようになった、と思ったのも束の間、昨日から
再び残暑が戻って来て、今日は、今年90日目の真夏日
を記録した、とニュースでも報じておりました。明日まで
暑さは続くようですが、せめて綺麗な中秋の名月が望め
ますように・・・。

オンライン「紫の会」は、この第4木曜日クラスも、第3
月曜日クラスと同じく、第14帖「澪標」の、明石での姫君
の誕生を知った源氏が、京から乳母を派遣し、その乳母
が明石に着いたところ迄を講読しました。

源氏が明石に遣わした乳母は、父親は上達部、母親は
桐壺帝の宣旨だったという、由緒正しい上流の出自で、
仕える明石の入道家よりも格上でした。こうした異例とも
言える、源氏自らの乳母の派遣は、明石の入道にとって
は、「よろこびかしこまりきこゆること限りなし」(喜び恐縮
申し上げ上げるのはこの上ないこと)となりました。

入道の娘にとっても、源氏が帰京してからの7ヶ月余り、
物思いに沈んでばかりで、出産でいっそう心身も弱り果て、
生きる気力を失いかけていたのが、慰められたのでした。

このまま源氏に見捨てられたら、明石の地で、シングル
マザーとして、世間の目にも耐えながら暮らしてゆかねば
ならず、両親が亡き後のことなど考えると、上記のような
状態になっていたのも、当然でありましょう。ここで初めて、
自分たち母娘が源氏に見捨てられていないことがわかり、
急ぎ帰参しようとするお使いの者に、
「ひとりして撫づるは袖のほどなきに覆ふばかりの蔭を
しぞ待つ」(私一人で姫君をお育てするには力不足です。
あなたの大きなご庇護をお待ちしております)
と、源氏にすがるような思いで、手紙をしたためたのも
わかる気がしますね。

この場面、詳しくは先に書きました「全文訳」(5)でお読み
いただければと思います(⇒こちらから)。


第14帖「澪標」の全文訳(5)

2023年9月28日(木) オンライン「紫の会・木曜クラス」(第38回・通算85回・№1)

オンライン「紫の会」の2クラスは、今月は第14帖「澪標」の
16頁・12行目~22頁・6行目迄を読みましたが、今日は
その後半部分に当たる、20頁・9行目~22頁・6行目迄の
全文訳となります。前半部分は、全文訳の(3⇒こちらから
と(4⇒こちらから)をご覧下さい。
(頁・行数は、「新潮日本古典集成 源氏物語二」による)


宣旨の娘は、牛車で洛中は旅立って行きました。源氏の君は
腹心の家来を付き添わせなさって、他言無用と、きつく口止め
をなさって、お遣わしになりました。御佩刀や、しかるべき品々
などあれやこれやと窮屈なほどに、ご配慮の行き届かないこと
はありませんでした。宣旨の娘にも、乳母に対して例のないほど
の行き届いたお心遣いをお見せになりました。

明石の入道が、生まれた姫君を大切にお世話して慈しんでいる
であろう様子を想像するにつけても、思わず微笑まれることが
多く、また、しみじみといたわしくも、ただこの姫君のことが気に
かかられるのも、ご愛情が深いからこそでありましょう。

入道の娘へのお手紙にも、おろそかにお育てしてはならない、と
重ね重ねご注意がございました。
「いつしかも袖うちかけむをとめ子が世を経て撫づる岩のおひさき」
(一日も早く、私も自分の袖を掛けてみたいものだ。天女が長の
年月、羽衣の袖で撫でる岩の行く末が限りないものであるのを
願って)

宣旨の乳母一行は、摂津の国までは舟で行き、そこから先は馬で、
明石に急ぎ到着しました。

明石では入道が乳母の到着を待ち受けて、源氏の君のご配慮を
喜び、恐縮申し上げることがこの上もございません。京のほうを
向いて、拝み申し上げて、並々ならぬ源氏の君のお気持ちを思う
と、姫君のことがいよいよおいたわしく、空恐ろしいほどまでに
思われるのでした。赤児の姫君の本当に不吉に感じられるほど
可愛くていらっしゃるのはこの上ありません。

乳母は、なるほど源氏の君が、勿体ないような思し召しで、この
姫君を大切にお育て申し上げようとお考えになったのは、もっとも
なことだった、と拝見するにつけて、明石のような田舎に下って
来て、夢を見ているような気持がしていた嘆きも、消えました。
姫君がとても可愛らしく、愛しく思われて、乳母は姫君をお世話
申し上げるのでした。
 
入道の娘も、あれから幾月も物思いに沈むばかりで、いっそう
心身ともに弱って、生きる気力もなかったのですが、こうした
源氏の君のご配慮で、少し物思いも慰められて、頭を枕から
起こして、御使いにもまたとない程の心遣いの限りを尽くします。
御使いが、すぐに帰参したいと帰りを急ぎ、迷惑がるので、
入道の娘は、思うことのあれこれを少しお書きして、
「ひとりして撫づるは袖のほどなきに覆ふばかりの蔭をしぞ待つ」
(私一人で姫君をお育てするには袖が狭く力が及びません。
あなたの大きなご庇護をお待ちしております)
と、申し上げました。源氏の君は不思議なほど姫君のことが
気にかかり、早く見たいとお思いになっておりました。


初めて垣間見た浮舟の印象

2023年9月25日(月) 溝の口「湖月会」(第172回)

ようやく秋の訪れが感じられるようになって三日目。明日からは
また気温が上昇して、木曜日は再び真夏日(それも猛暑日に
近い)となる予報です。やっとエアコンの出番も終わったかな?
と思っていましたが、まだ数回は覚悟しておいたほうがよさそう
ですね。

今月は、第2金曜日クラスの例会が、台風で中止となったため、
同じ箇所を読んでいるこちらのクラスへの振替受講を選択なさ
った方が14名おられ、いつもの少人数の講読会とは異なり、
とても賑やかになりました。

そんな中で、第49帖「宿木」を読み終えました。それも私にしては
珍しく時間内にピタッと( ´艸`)

「宇治十帖」の中で最も長い「宿木」の巻ですが、本日講読した
最後の場面の舞台は宇治で、薫が、偶然八の宮邸に来合わせた
浮舟を垣間見て、心惹かれる様子が描かれています。

4月20日過ぎ、薫は、八の宮邸の寝殿を解体し、宇治の山寺へ
御堂として移築する工事の進捗状況の確認に出掛け、その足で、
今も八の宮邸に残っている弁の尼の許に立ち寄ります。

そこへ長谷寺に参詣した帰途、八の宮邸で中宿りをするために、
浮舟の一行がやってきました。

薫は、襖の穴から、腰が痛くなるまで熱心に浮舟の姿を見つめ
ます。先ずは、牛車から降りてくる浮舟の容姿が、ほっそりとして
上品で、「いとよくもの思ひ出でられるべし」(とてもよく亡き大君が
思い出されるようだ)とあります。

その後、弁の尼が挨拶に来て、浮舟は、弁の尼と向き合うのを
恥ずかしがって横を向いたため、薫からはとてもよく見えるように
なりました。「ただそれと思ひ出でらるる」(ただもう大君がそこに
居るように思い出される)ので、「涙おちぬ」(涙がこぼれ落ちた)
のでした。

薫は、浮舟との邂逅が嬉しく、すぐに傍に寄って「世の中におはし
けるものを」(あなた〈大君〉は生きていらしたのですね)と言いたく
なる程で、大君本人ではないけれど、「なぐさめ所ありぬべきさま
なり」(きっと心慰められるに違いない様子である)と、感じてお
ました。

こうしてみると、薫が浮舟に求めているのは、一目瞭然、大君の
身代わりということがわかりますね。浮舟自身ではありません。
あくまで大君の「形代(かたしろ)」として薫の中に位置づけられた
浮舟が、この先どのような運命を辿ることになるのか、いよいよ
次回の第50帖「東屋」から、浮舟をヒロインとした物語が始まります。


来年の手帳

2023年9月22日(金)

おせち料理の予約開始をあちらこちらで見かけるように
なり、9月も下旬となると、いろんなことが来年に向かって
動き出しています。

ずっと猛暑続きで、来年のことにまで頭が廻らずにいた
のですが、今日、電車で3駅先のヘアカラー専門店に
行ったので(私はもう5年ほど前から、白髪染めはヘア
カラー専門店を利用しています)、同じビルに入っている
東急ハンズに寄って、来年の手帳を買い求めて来ました。

去年は店頭に無くて取り寄せとなり、店員さんに手間を
掛けたので、今年は置いてあるといいな?と思っていた
のですが、ありました。もう30年以上使っているコレクトの
プログラムシリーズD-15という型番の超薄型のコンパクト
手帳です。

今は手帳を持つ人自体が少なくなっているのでしょうね。
売り場も昔に比べて随分縮小している気がします。でも
私は、スマホに予定を入れるよりも(いえ、入れたことが
無いだけです)、手帳を開けて、パッと見るほうが性に合
っているというか、要するにアナログ人間ってことですね。

       手帳2024
    表紙の色も、以前は何色かの中から選んで
    いましたが、今はこの一色だけです。

  手帳2024②
    見開きで、1ヶ月分の予定がわかるので、
    とても使い易いのです。壁に掛けている
    カレンダーと、この手帳に予定を書き込む
    ことにしています。
     

文面と口上に分けた薫の意図

2023年9月20日(水) 湘南台「源氏物語を読む会」(第246回)

昨日の新聞に、9月18日迄で、最高気温が30℃以上になった
日数は86日と記されていました。昨日も今日も30℃を超えた
ので、これで88日。明日もまだ思ったほど気温は下がらず、
30℃を超えそうです。1年のうちの約1/4を、30℃以上の暑さ
の中で過ごしたことなど、これまでには無かったはずです。
もし、来夏以降もこの状況が続くとしたら、耐えられるかな?
今年だけの異常な暑さ、と思いたいですね。

このクラスが講読中の第52帖「蜻蛉」、今日で前半を読み終え
ました。

浮舟の死の真相を知った薫は、京に戻ると、浮舟の母君に
弔問の使者を遣わします。使者に持たせた手紙には、真っ先
にお見舞いを申さねば、と思いながらも、浮舟の死に動揺して
遅くなってしまった事を詫び、このような無常な世ながら、生き
永らえていたら、「過ぎにし名残」(亡き浮舟の形見)と思って、
何かの折には、きっと私にお便りを下さい、と認めてありました。

さらに薫は、使者に口上で、「浮舟を宇治に置いたままだった
ことに、私の誠意が感じられなかったかもしれないが、今後も
浮舟を忘れることはないし、あなたも私を内々に忘れず頼って
くだされば、お子様方が朝廷に出仕なさるような時にも、必ず
力になりましょう」、と伝えさせたのでした。

薫が、後半部分を文面にしなかったのは、おそらく、後々、
手紙を証拠として突きつけ、見当違いな要求などをされては
困る、という思いがあったのでしょうが、その判断が誤って
いなかったことは、このあとの母君の行動からわかります。

母君は、薫からの使者を、「たいした穢れには触れていないの
だから」と、強引に家の中に入れ、帰り際には禄として、派手な
斑犀の帯(犀の角を加工して飾りにした石帯)などを与えました。
今なら、ブランド品のベルトを贈るようなもので、薫が「忍びて」
遣わしていることへの配慮に欠け、薫も「余計なことを」と思って
います。

薫は、浮舟を早くに京へ引き取っていれば死なせずに済んだ、
という自責の念から、こうした一族支援の申し出までしているの
ですが、母君は単純に喜び、夫の常陸介にも、初めて浮舟の
これまでのことを語り、浮舟が生きていれば、いっそう恩恵に
与ったであろう、と残念に思い、泣いているのです。

作者も、「実際に浮舟が生きていたら、薫がこの一族に関わる
ことも無いでしょうにね」と、草子地で、自分たちの立場の理解
できていないことを批判しています。

薫の慎重さに納得しながらも、同時に、物事をどうしても自分の
価値観で判断してしまう人間の一面を、浮舟の母君の言動が
映し出している気もいたしますね。


格上の乳母

2023年9月18日(月) オンライン「紫の会・月曜クラス」(第38回・通算85回・№2)

今日は「敬老の日」。これまでに、こんな猛暑の中での
「敬老の日」って、あったでしょうか?

朝刊に、高齢者が全人口の30%近くになっていることが
出ていましたし、夜のニュースでは、これまで75歳以上の
高齢者を対象に行っていた「敬老の日」の祝賀行事が
出来なくなっている自治体の増加を取り上げていました。
「敬老」の対象者を75歳→77歳→80歳へと引き上げる
自治体もあるとか。団塊の世代が一気に後期高齢者を
増やしているのですね。かく言う私も、来年の「敬老の日」
は、後期高齢者となって迎えることになります。

今月のオンライン「紫の会」は、来月で会場クラスとの
足並みを揃えたいので、読み進んだのは、第14帖「澪標」
の、「明石の姫君の誕生」~「源氏が京から派遣した乳母
が明石に着いたところ」迄で、少なめです。

宿曜の占いで、将来「后」の位に就くことを予言された娘
が、明石のような田舎で生まれたことを不憫に思う源氏は、
京から乳母を派遣することにします。

源氏のお眼鏡に適った乳母は、母親は桐壺帝の許で宣旨
(詔勅を伝える役目をする女官)を務めた宮廷の上臈の
女房、父親は宮内卿の宰相(宮内省の長官で参議)で、
在職中に亡くなった上達部(上級貴族)。由緒正しい出自の
女性です。ただ、今は母の宣旨も亡くなり、これといった頼る
人もいない身で、妻として認めてもらえない男性の子を産み、
心細く暮らしていたので、源氏が伝手を頼り、明石の姫君の
乳母となるよう依頼して来られたのを、深く考えることもなく、
引き受けたのでした。

一方の主人側となる入道の娘は、父親が中央官僚を捨てて
地方官(播磨守)となったのですから、出自は受領階級となり
ます。主人側は中級貴族、仕える乳母側は上級貴族、と、
乳母のほうが格上で、通常とは出自が逆転しています。

源氏は、乳母が明石に出発前に会いに行き、若く美しいのを
そのまま見過ごせず、「別れが惜しくて、あなたを追いかけて
行きたい」などと、色めいた振る舞いで揺さぶりをかけます。
それに対し、宣旨の娘は、「その出まかせの言葉を口実に、
本当は恋しいお方のおられる所にいらっしゃりたいのでは
ありませんか」と、なかなか気の利いた返事をしました。

これは言わば、一種の就職面接テストの意味もあったので
しょう。ここで、源氏の戯れを本気にして、明石への下向を
躊躇うようでは、明石のような辺鄙な場所で、乳母として
務まるかどうか、危ぶまれます。でも、このような機知に
富んだ返事が出来る宣旨の娘は、源氏の姫君の乳母と
して文句なしで合格だった、と言えるでしょうね。

この部分、詳しくは先に書きました「澪標・全文訳(4)」で
ご覧頂ければ、と存じます(⇒こちらから)。


第14帖「澪標」の全文訳(4)

2023年9月18日(月) オンライン「紫の会・月曜クラス」(第38回・通算85回・№1)

9月、10月は、会場クラスとオンラインクラスとの進度調整も
あるので、今日は意識的に講読量は少なめにして、全文訳
も読み上げ、それでも時間ピッタリに終わることができました
(私にしては珍しいです)。

「澪標」の全文訳(3)に書いた18頁・8行目~19頁・2行目迄
は、この後の内容紹介で取り上げますので、その部分を
今回の全文訳(4)に移しました。それに、20頁・8行目迄を
加えての全文訳となります。20頁・9行目~22頁・6行目迄は
9/28(木)のクラスで書くことにいたします。
(頁・行数は、「新潮日本古典集成 源氏物語二」による)


あのような田舎では、まともな乳母というのは見つけ難いであろう、
と、源氏の君はお思いになっておりました。故桐壺院にお仕えして
いた宣旨の娘が、父親は宮内卿の宰相でしたが既に亡く、母の
宣旨も亡くなって、頼りになる身内もいない身の上で暮らしていた
けれど、見込みのない結婚をして子どもを産んだとお耳になさって
いたのを、先方に親しいつてがあって、何かの折にこの事を話して
いた女房を、源氏の君はお呼びになって、その者を介して宣旨の
娘に乳母となるようお約束なせなさいます。

宣旨の娘はまだ若く、世慣れておらず、日々通う人もない荒れた家
で物思いがちに過ごす心細さだったので、乳母として明石に下る事
を深く考えることもなく、源氏の君にご縁がある話なら一途に結構な
事だと思い、ご奉公する旨を仲介の女房に申し上げさせたのでした。
源氏の君はたいそう不憫なことだと一方ではお思いになりながら、
宣旨の娘を明石に出発させなさいました。

その日、源氏の君は他の用事のついでに、たいそうこっそりと隠れて、
宣旨の娘の家にお出でになりました。

あのようにお引き受けはしたものの、やはり明石に下るというのはどう
したものかと思い乱れていた宣旨の娘ですが、源氏の君のご来訪が
もったいなくて、すべての心配事を紛らわせて、「ただ仰せのままに」と
申し上げるのでした。旅立ちに支障のない吉日だったので、急がせて
出発させなさり、「明石まで下れというのは、奇妙な思いやりのないこと
だと思うであろうが、私には格別の考えがあってのことなのだ。私自身
も思い掛けない侘住いに晴れない思いで暮らしていた、そんな例も
あったのだからと思って、しばらくの間我慢してください」などと、事の
いきさつを詳しくお話になりました。

宣旨の娘は桐壺帝の御前に時々出仕していたことがあったので、
お見かけになったこともありましたが、今はすっかりやつれてしまって
おりました。家の状態も言いようもなくひどく荒れ果てて、さすがに
大きな屋敷で木立などが気味悪いほどに茂っていて、こんな所で
どうやって過ごして来たのだろう、と思われます。

宣旨の娘の様子は、若々しく美しいので、お見過ごしにはなれません。
何やかやとお戯れになって、「あなたを明石へ行かせたりせず、
取り戻したい気がします。あなたはどうですか?」と、おっしゃるに
つけても、本当に同じことなら、源氏の君のお側近くにお仕えできる
ならば、辛い身の上も慰められることであろう、と宣旨の娘は見申し
上げておりました。
「かねてより隔てぬ仲とならはねど別れは惜しきものにぞありける
(以前より親しい仲として付き合ってきたわけではないが、別れは
名残の尽きないものであることよ)
追いかけて行きたい気持ちだ」と、源氏の君がおっしゃると、宣旨の
娘はにっこりと笑って、
「うちつけの別れを惜しむかことにて思はむかたにしたひやはせぬ」
(突然の別れが惜しいなどとおっしゃる出まかせの口実に、本当は
恋しいお方がおいでになるほう(明石)へいらっしゃりたいのでは
ありませんか)
と、場慣れした返歌を申し上げたので、なかなかの者だ、と源氏の君
は感心なさったのでした。


渋皮栗入「栗きんとんロール」

2023年9月16日(土)

今週は『源氏物語』の講読会が月曜日1回だけとなり、
次は明後日(18日)なので、ここでまた1週間空くことに
なりました。非日常的な予定は何もないし、仕方なく、
このまま月曜日迄、ブログは更新しないつもりでいまし
たが、少し前にネットで注文していた表題のケーキが
届いたので、これを記事にすることとしました。いつも
困った時の食べ物ネタ、ですね(^_^;)

楽天でよく買い物をしている姉から、「お買い物マラソン」
とか「スーパーセール」とかの説明を何度聞いても、その
仕組みが、とんと理解出来ない私です。徒歩1分の所に
大型スーパーがあり、ペットボトルのような重い物は生協
の宅配で届けてもらっているので、ネット通販をあまり
利用しないからでしょうね。

でも以前に、「まるごと渋皮栗大福」をお取り寄せして以来
(栗のお菓子は和洋を問わず大好き)、新杵堂さんからは、
お得なクーポンなどがメールで届くようになり、今回も楽天
の「スーパーセール」の開始2時間限定で、5,000円以上
買うと50%OFFになるというクーポンが送られてきました。

「まるごと渋皮栗大福」も美味しいのですが、私がこのお店
で一番気に入っているのは、「栗きんとんロール」です。
以前は単品購入が出来なかったのですが、今は可能に
なりました。1本が3,980円で、私はそれを、8切れにカット
します。普通よりも凄く薄いと思いますが、それでも1切れ
約500円。普段はちょっと手が出ません。でも半額クーポン
を使えば1切れ約250円。とても嬉しいサービスです。

  渋皮ロール①
     1本ずつ箱に入って、冷凍便で届きました。

  渋皮ロール②
    凍った状態ではカット出来ないので、ナイフが
    通るようになるまで待って、8切れにカット。
    常温のものと異なり、ナイフにクリームも付かず、
    切り口も綺麗です。1切れ残して、あとは1切れ
    ずつラップに包んで冷凍庫へ。

  渋皮ロール③
  早速、アイスカフェ・オ・レと共に1切れいただきました。
  ほんのりとラム酒の香りが広がるのもいいですね。
   
私は毎朝(11:00近くのことが多いので、ブランチというべき
でしょうか)、カフェ・オ・レ(夏場はアイス、冬場はホットで)
を飲み、その時にロールケーキをお供にするのが定番と
なっています。常温で買ったものを冷凍して解凍すると、
どうしても味が落ちるのですよね。でもこのロールケーキは、
元が冷凍ですから、それを解凍して食べても、スポンジ部分
がパサついたりしません。その点も気に入っています。


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