fc2ブログ

第10帖「賢木」の全文訳(24)

2021年10月11日(月) オンライン「紫の会・月曜クラス」(第15回・通算62回・№1)

今月からまた第2月曜日に戻ったでオンライン「紫の会」の月曜クラスですが、
本日で、第10帖「賢木」を読み終えました。

今日読んだのは、185頁・7行目~189頁・11行目迄ですが、その前半部分
(185頁・7行目~186頁・13行目)の全文訳です。後半は木曜クラス(10/28)
のほうで書きます。

今回の全文訳は短めですが、源氏と朧月夜との密会の現場を、右大臣に
押さえられてしまう重大な場面となります。

(頁・行数は、「新潮日本古典集成 源氏物語二」による)

朧月夜はとても困ったとお思いになって、御帳台からそっとにじり出てこられ
ましたが、お顔がたいそう赤くなっているのを、右大臣は、「まだご気分が
お悪いのだろうか」とご覧になって、「どうしていつもとご様子が違っている
のか。物の怪などが憑りついていると厄介だから、修法を続けさせるべき
だったなぁ」とおっしゃるのでしたが、薄二藍色の直衣の帯が朧月夜の
お召し物にからまって引き出されているのをお見つけになって、「変だ」と
お思いになったところ、その上また、懐紙で、すさび書きなどをしたものが、
御几帳の下に落ちていました。これはどういうものなのだ、と右大臣は
おのずと動転なさって、「これは誰のものですか。見慣れぬものですね。
こちらにお渡しなさい。それを手に取って誰の物か調べましょう」と右大臣
がおっしゃったので、朧月夜は振り返って見て、ご自身もそれをお見つけに
なりました。取り繕いようもないので、何とお返事申し上げられましょうか。

朧月夜が正気を失ったような状態でいらっしゃるのを、我が子ながらも身の
置き所も無いと思っておられるはず、と、右大臣ほどのご身分の方なら、
斟酌なさるべきですよね。けれど、とてもせっかちで、ゆったりとしたところの
おありでない右大臣が、前後の見境も無くなられて、懐紙を手に取りなさるや
いなや、几帳から御帳台の中を覗き込まれると、たいそうひどく艶めかしい
様子で、臆面もなく添い臥している男までがいたのです。今になって、そっと
顔を引き隠して、あれこれと取り繕っています。右大臣は呆れ果て、心外で
腹立たしいけれど、面と向かってはどうしてあばき立てられましょうか。

目の前も真っ暗になった気がするので、この懐紙を持って弘徽殿の大后の
おられる寝殿へとお出でになりました。朧月夜は正体もなく、生きた心地も
なさいません。源氏の君も、「いやまいったな、とうとうつまらない振舞いが
重なって、世間の非難を受けることになるのか」とお思いですが、朧月夜の
痛々しげなご様子なのを、あれこれと慰め申し上げていらっしゃるのでした。


スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿

訪問者カウンター