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それぞれの立場

2021年11月22日(月) 溝の口「CD源氏の会」(第4回・通算144回)

ずっと続いていた小春日和も、昨日からお天気が下り坂になり、
今日は朝から雨の一日となりました。

CDによる「源氏の会」の録音も、4回目となり、パソコンに向かい
最初の一声を発する時は、やはり緊張しますが、進むにつれて
自然に言葉も出てくるようになった気がしています。

このクラスは、第47帖「総角」の前半を読んでおります。

大君と一夜を共にしながら、結ばれることなく夜明けを迎えた薫は、
大君に急かされ、渋々京へと帰らざるを得ませんでした。

大君は自分が薫と結婚すると、すでに両親のいない身では、後見を
してくれる人がいない。それなら、妹の中の君を薫と結婚させて、
自分がその後見役を務めればよい。薫が余りにも立派過ぎるのも、
気後れしてしまうし、と独自の非婚の論理を打ち立て、自身は生涯
独身を通す決意をします。

薫の性格や、薫が誰を理想として求めているのかを、もう少し客観視
出来れば、そこまで大君はおのれを追い詰めることもなかったはず
なのに、と、哀れな感じがしてまいります。

大君の決意の根底には、結婚したものの、薫が高貴な正妻を迎えたり、
薫に飽きられて捨てられたりした場合、それは「宮家の恥」という考えが
あり、父宮の遺言でもある宮家の矜持だけは何としても守り抜かねば、
と思い込んでいたからでした。

でも、仕えている女房たちにそんな大君の気持ちが理解できる訳は
ありません。この心細い宇治の山里での暮らしの中で、「この君をのみ
頼みきこえたる」(この君〈薫〉だけをお頼り申し上げている)のですから、
「思ひにかなひたまひて、世の常の住処にうつろひなどしたまはむを、
いとめでたかるべきことに言ひあわせて、ただ入れたてまつらむと、皆
かたらひあはせけり」(自分たちの思い通りに、大君が薫と結婚なさり、
世間並みに京のお邸にお移りになったりなさるのを、とても素晴らしい
事だと言い合って、薫を大君のお部屋にただもうお入れしてしまおう、
と、皆で示し合わせた)のでした。

この両者の間の立場にあるのが、老女房の弁の君(薫の実父・柏木
の乳母子で、のちに八の宮家の女房となった)です。さすがに京の
名家に仕えていただけに、女房としての心得も十分にわきまえており、
薫の出生の秘密も、一人胸に秘め、大君や中の君に漏らすことさえ
していませんでした。そんな信頼のおける女房ですから、当初は他の
女房たちとは異なり、大君の気持ちに寄り添っていましたが、大君が
薫と中の君を結婚させたい、と、弁の君に胸中を語ったあたりから、
ズレが生じてきます。

今の我々からすると、弁の考え方が一番常識的な気がするのですが、
次回はその弁が、大君を説得しようとするところから読んでいくことに
なります。


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