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秋好中宮の物語の終結

2021年12月7日(火) 高座渋谷「源氏物語に親しむ会」(通算154回 統合104回)

先月末から騒がれ始めたコロナの新変異株「オミクロン」ですが、
幸いまだ日本では拡がっておらず、高座渋谷のクラスは、10月、
11月、12月と、3回続けて例会を行うことができました。

「徳川美術館」で観てきた「国宝 源氏物語絵巻」の話も、少しした
かったのですが、今日は余談抜きで講読に入り、第38帖「鈴虫」を
読み終えました。今月でこの巻を読み終えたかったのには、12月
という区切りの良さもありましたが、一番の理由は、テキストにして
いる「日本古典集成」の『源氏物語』(全8巻)の5巻目が「鈴虫」で
終わり、次の「夕霧」からが6巻目になるからです。本は重いので、
二冊を一度に持って来ていただくのは、避けたいと思っていました。

「鈴虫」の巻は、女三の宮の密通事件の後日談的な要素の色濃い
巻ですが、最後は秋好中宮の姿を映し出して、幕を閉じています。

冷泉院の許を訪れた源氏は、上皇御所で一緒にお住いの秋好中宮
のお部屋に顔を出されます。「いと若うおほどかなる御けはひ」(とても
若々しく、おっとりとしたご様子)ですが、秋好中宮も41歳。当時では
既に初老の域に入っています。

中宮は源氏と対面できた機会に、出家の願望を伝えます。やはり
恩義ある源氏の許可なしに出家は出来ない、とお考えでした。
源氏は即座に反対します。中宮は「深うも汲みはかりたまはぬなめり
かしと、つらう思ひきこえたまふ」(私の気持ちを深く汲み取っては
下さらないようだ、と辛く思い申し上げなさる)のでした。

秋好中宮の真意はどこにあるのか、というと、母・六条御息所が未だ
成仏できず、死霊となって源氏の前に現れた、という噂を耳にして
悲しくなり、母のために仏道修行に専念したい気持ちが深まったから
なのですが、源氏に許してもらえる訳もなく、六条御息所の追善供養を
熱心に営みながら、「いとど心深う、世の中をおぼし取れるさまになり
まさりたまふ」(いっそう思い澄まして、この世をお悟りになったご様子に
なっていらっしゃる)で、「鈴虫」の最後は結ばれています。

光源氏を主人公とする物語の終焉も近づき、六条院の女性たちの物語
も終結に導こうとする作者の意図が感じられる、秋好中宮のエピソード
です。

「鈴虫」の巻で、女三の宮と秋好中宮の話が一段落しました。花散里は
夕霧の養母、明石の上も明石の女御の後見として、それぞれ次世代に
関わる役割を担っているので、終わらせる必要はありません。残るは
紫の上です。それが語られるのは、「夕霧」の巻を挟んで第40帖「御法」
となります。


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