fc2ブログ

求愛の手順を踏まない薫

2021年12月15日(水) 湘南台「源氏物語を読む会」(第228回)

昨日の凍えるような寒さから解放され、今日は快晴。気温も12月の
半ばにしては高めだし、ラッキーと思っていたら、何と小田急江ノ島線
人身事故で運転見合わせ、のメールが・・・。

昨年もコロナ禍になってからたった2回しかできなかった例会のうち1回
が、やはり小田急線の人身事故で、今日と同じく40分皆さまをお待たせ
しての開始となったのを思い出しました。

結局3:30終了予定の講座が終わったのは4:10近く。辺りは薄暗くなり
始めていました。それでも、湘南台クラスも無事に10月から3ヶ月続けて
例会ができて、一年の締め括りとしては良かった、と思っています。

第50帖「東屋」も終盤です。晩秋の頃、薫は宇治に出かけた際、弁に
「二条院に居るという浮舟に私のことを伝えて欲しい」と言い出します。
弁が、今は三条の小家に移っていると言うと、薫は急に積極的になって、
「それなら、その三条の小家に出向いて仲介の労を取ってくれまいか」と、
弁に依頼します。「既に出家した尼の身で、そうした俗世の男女のこと
に関わるのは気が引ける」という弁に、薫はいつになく無理強いをして、
「明後日、迎えの牛車を派遣するので頼む」と、強引に事を運ぶのでした。

薫にすれば、浮舟が自邸の三条の宮に近い、隠れ家のようなところに
いるほうが、二条院にいるよりも近づき易い、と判断をして、積極的に
なったのでありましょう。

しぶしぶ引き受けた弁が、「それでは先に、浮舟に歌を贈っておいて
くださいませ」と言うと、薫は「右大将ともあろう者が、常陸介の娘ふぜい
に言い寄っていると世間で取り沙汰されてもなぁ」と、承知しなかったの
です。

この時代の求愛は、男性が女性に対して歌を贈るところから始まるのが、
通常のルールだったのですが、薫はその手順を踏もうとしていません。
浮舟をまともな恋の相手とは見ていないからで、彼女はあくまで大君の
形代に過ぎない、ということが、こうした薫の態度からも窺えます。

薫は言った通りの日の早朝、宇治に牛車を差し向け、弁は三条の小家を
訪れました。その夜、薫も三条の小家にやって来て、浮舟と一夜を共に
したのでした。

大君の時は、あれほど相手の気持ちを尊重していた薫が、浮舟の場合は、
歌も贈らず、いきなりやって来て、あっさりと浮舟の部屋に入り込んでいます。
偶然見かけて手を出そうとする匂宮も、このような形で浮舟を手に入れた
薫も、浮舟自身の人格など全く無視しています。八の宮が認知していれば、
宮家の姫君であったはずの浮舟なのに。

来年に持ち越しとなった「東屋」の最終回。ここから舞台は再び宇治となり、
「宇治十帖」も佳境を迎えることとなります。


スポンサーサイト



コメント

No title

ばーばむらさき様

10月からは対面での講座も何んとか開くことが出来て良かったですね。私はオンライン講座もCD講座も試みないで、終わってしまいました。このまま感染拡大することなく収束してくれたら、どんなにうれしいことでしょう。

No title

keikoさま

コメントを戴き、有難うございます。

対面講座のみの2クラスは、どちらも10月から3ヶ月続けて出来てホッとしております。ただこの先、オミクロン株がどうなるかもまだわからず、何とかこのまま収束状態を保って欲しい、と祈るばかりです。

実はkeikoさまのブログに書かれていた「ぬか漬けの素」、私もgetしました。ぬか漬けが上手く出来たら、ブログで報告させていただきますね。





コメントの投稿

訪問者カウンター