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国宝「源氏物語絵巻」夕霧段

2022年6月7日(火)高座渋谷「源氏物語に親しむ会」(通算158回 統合108回)

ここ関東では、昨日、九州や四国に先駆けて、梅雨入りが発表になり
ました。早速の「梅雨寒」といいましょうか、最高気温も20度に届かない
日が続き、外に出る時には長袖の上着が必要です。

コロナの新規感染者数はこのところずっと減少傾向で、会場での例会も、
もう今月は、事前に幹事さんと「どうしますか?」という打ち合わせもなく、
出向きました。

このクラスは、第36段「夕霧」に入って4回目。今日は国宝「源氏物語絵巻」
夕霧段に描かれている場面の所までを読みました。

一夜は共にしたものの、落葉の宮の強い拒絶に、根が真面目な夕霧は、
結局手出しできず退散する羽目となりましたが、明け方に出て行く姿を
御息所の加持祈祷に当たっている僧たちに目撃されたことから、話が
ややこしくなってしまいます。

律師に夕霧の朝帰りを告げられた御息所は、落葉の宮に真偽を質し
たいと、宮にお越しいただきました。でも、落葉の宮は「ものづつみを
いたうしたまふ本性」(ひどく内気なご性分)で、昨夜の出来事をきちん
と弁明できず、ただ恥ずかしいとばかり思っておられるので、母である
御息所も、可哀想に思い、追及することができません。落葉の宮には、
おそらく自分の意見を述べるという経験がなかったのでありましょう。

御息所は、人の口には戸が立てられぬことだから、いずれ世間の噂と
なるであろう。それなら夕霧に愛人扱いされるよりは、きちんと婿として
認めるほうが良策ではないか、と考え始めた矢先に、夕霧からの手紙
が届きます。

当時の結婚は、男が三夜続けて通って来てはじめて成立するものなので、
二日目の今夜、手紙だけ寄越して、本人は来る様子がないし、その手紙に
書かれているのも、昨夜の恨み節のような内容で、誠意が感じられません。

夕霧からすれば、何事もなかったのに二日続けて小野へ出掛けるのも、
却って見っともないと思って、逸る気持ちを抑えての選択だったのですが、
もちろんそんなことが御息所に伝わるはずはありません。

もうちゃんと筆も持てない体調でありながら、御息所は「女郎花しをるる
野辺をいづことて一夜ばかりの宿を借りけむ」(女郎花〈=落葉の宮〉が
嘆き萎れている野辺〈=小野の山荘〉を、一体どこだと思って一夜の宿と
なさったのでしょう)との歌を、直ぐには判読できないような乱れた文字で
書き、そのまま危篤状態に陥ってしまわれました。

御息所の歌は、今宵の訪れのないことを責めると同時に、続けて通って
くれるなら、この結婚を認める、という意思表示にもなっています。

そして、この手紙が夕霧の許に届くのですが、もう夜になっている上、文字
は乱れているとあって、夕霧は灯りを近くに引き寄せて読もうとします。それ
を雲居雁が「いと疾く見つけたまうて、はひ寄りて、御うしろより取りたまうつ」
(目ざとく見つけなさって、そっと近づいて、後ろから手紙を奪い取られました)
と、まさに国宝「源氏物語絵巻」夕霧段の場面となったのです。

     国宝「源氏物語絵巻」夕霧段
     室内で女君が立って歩くのは、はしたない行動とされて
     いた時代で、雲居雁は慎みを欠いた姿を見せています。
     襖を隔てて聞き耳を立てている女房たち。『家政婦は見た』
     の世界ですね(古いですけど💦)。


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コメント

No title

子どもの結婚問題、心配ですよね・・・・
娘の名誉を傷つけられたようで、心穏やかではないと思いますが、落葉の宮の内気な性格もわざわいしていますね(^^;;

No title

utokyoさま

コメントを有難うございます。

この落葉の宮の母君である御息所は、朱雀帝の後宮でも才気ある人と言われていただけに、こうした事態にどれほど気を揉まれたことかと、気の毒になりますね。

今の私たちからすると、歯痒いほどの落葉の宮の性格ですが、当時の上流貴族社会ではこちらのほうが普通で、雲居雁のように自己主張できる女君は珍しかったのだと思います。

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