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時は移りぬ

2022年6月10日(金) 溝の口「オンライン源氏の会」(第24回・通算164回)

オンライン「源氏の会」も24回目。恐る恐る始めたオンライン講座も今では
すっかり慣れ親しんだ感がありますが、2年も経てばそうでしょうね。

このクラスは第49帖「宿木」に入って2回目。薫と匂宮の縁談がいよいよ
纏まってきた、という所までを読みました。次のCDによる最終講座(6/27)
で、ちょうど録音可能な量となりましたので、予定通り、7月からは会場
クラスとオンラインクラス、足並み揃えて読み進めて行けそうです。

匂宮が夕霧の六の君との縁談を渋る一番の理由は、今や右大臣の位に
あって、誰よりも権勢を誇っている夕霧が鬱陶しく思われるからなのです。
夕霧は真面目な性格だけに、匂宮の浮気っぽい勝手気儘な振る舞いを
咎め立てなさるであろう、と思うと、面倒になって、匂宮はこれまで気が
進まないのでした。でも、こうした時の権力者に恨まれたままになるのも、
将来的には拙いことに違いなく、「やうやうおぼし弱りにたるべし」(次第に
心が折れてこられたのであろう)とあります。

あの夕霧が、匂宮をビビらせる最高権力者ねぇ、と思う読者も多いのでは
ないでしょうか。第12帖「須磨」では、挨拶に訪れた父(源氏)と、これが
再会も叶わぬ別れになるやも知れぬ、とは理解できず、無心にはしゃいで
います。この時5歳です。また第28帖「野分」では、偶然垣間見た紫の上の
美しさに胸キュンとなった15歳の夕霧がいました。その夕霧が51歳となって
います。

そしてもう一人、明石中宮。読者にとって印象的なのは、第19帖「薄雲」で、
実母・明石の上と引き裂かれる場面です。お迎えの立派な牛車に無邪気
に喜び、明石の上に向かって「乗りたまへ」(お母様もお乗りになって)と、
片言の可愛い声で言う姫君(後の明石中宮)は、この時僅か3歳でした。
そして44歳となって、今回匂宮に説教をしている明石中宮はといえば・・・。

親王にはしっかりとした外戚が必要だと説き、臣下の者だと本妻を二人持つ
ことは難しいけれど、それだって、あの真面目人間の夕霧でさえ、雲居の雁
と落葉の宮の二人を、怨みっこ無しで、上手く取り捌いているではないか、
ましてや匂宮は次期東宮と目されているのだから、将来帝に即位することに
なれば、何人妃がいても何ら問題は無い、と言い放っています。「乗りたまへ」
から40余年の時が流れた姿です。

夕霧や明石中宮は、誕生の時から「宇治十帖」の終わりまで登場している
人物なので、「時は移りぬ」を体現して見せることが出来るのですよね。


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コメント

No title

ばーばむらさきさま、こんにちは。

今日のブログを拝読、何だか年月の流れというものがいとおしく、涙が出そうになりました。

「源氏物語」の世界では、ちょうど私が生きた年月ほどの時間が流れています。あの夕霧くんが人に怖れを抱かせる権力者になり、「乗りたまへ」の幼女が息子に道理を説く…。人は生きている間に何が変わり、また何が変わらないのでしょうか?

梅雨寒だったり、蒸し暑かったり、心身ともに湿ってしまいます。どうぞご自愛くださいませ。

No title

萩原さま

コメントを有難うございます。

『源氏物語』を、光源氏の色恋だけの物語、と思っている人も多いようですが、「それは違う」と声を大にして言いたいですね。

これほど人の生き様を全円的に捉え描いた物語は、他にはないと思います。

『源氏物語』と出会って半世紀余りになりますが、若い頃には気にもならなかったところが、近年になってあれこれと考えさせられるようになりました。やはり『源氏物語』は、ある程度年を取ってから読んだほうが良さそうですね。

梅雨に入り、鬱陶しい日が続いております。どうぞご自愛くださいませ。

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