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いつまで経っても頼りない母

2022年8月22日(月) 溝の口「湖月会」(第160回)

コロナ禍で、一番長い休講が続いた溝の口の「湖月会」が、ようやく
2年半ぶりに会場での講座再開となりました。これで2020年3月以降、
一度も行えていない、という会場ラスは無くなりました。このまま継続
してやっていけますように、と祈っております。

CD講読でオンラインクラスとの差が無くなりましたので、読んだ所は
8月3日のオンラインクラス(⇒こちらから)、8月12日の第2金曜クラス
(⇒こちらから)と同じです。今日は先の2クラスの記事では触れて
いない、講読箇所の最後の場面に書かれている女三宮の現状を
ご紹介しておきましょう。

薫は大君亡き後、ずっと精進を続けていて、いっそう仏道に励む日々
を送っています。母の女三宮もすでに47歳位になっており、当時では
初老の域に達しています。でも未だにしっかりとしたところのない、頼り
なさを感じさせる人だと書かれています。そんな女三宮が、このような
薫の様子を見て、出家してしまうのではないか、と不安を覚え、薫に
「自分が生きている間は出家しないで欲しい。尼姿の身の自分がその
ようなことを言える立場ではないが、あなたが出家してしまわれたら、
私はもう生きている甲斐も無い気がするでしょう」とおっしゃるので、
薫は「かたじけなくいとほしくて」(恐れ多くおいたわしいので)、「御前
にてはもの思ひなきさまをつくりたまふ」(母宮のお前では、何の物思い
もないように取り繕っておられる)のでした。

以前、第45帖「橋姫」でも、弁の尼から出生の秘密を聞かされ、柏木が
女三宮に残した遺書もあるので、薫は母の所を訪れますが、女三宮は
お経を読んでいる姿を息子に見られて恥ずかしがり、慌ててお経を
隠そうとします。そんな子どもっぽい母親のしぐさに、薫は「自分が出生
の秘密を知ったことを、決して母に悟られてはならない」と、決意して
いましたね。

8月12日に取り上げた『無名草子』の中でも、「何とも頼りない女三宮が
母親というのが不思議です。紫の上腹というのなら納得できます」と、
しっかり者の薫の母親として、こんなぼんやりした女三宮はあり得ない、
というふうに書かれていました。

ただ、いくらぼんやりの女三宮でも、望まない柏木との密通、その結果の
懐妊、しかもそれを源氏に知られてしまった時の苦悩は並大抵のことでは
なかったはずです。それがこうして晩年になって、孝行者の息子に頼り
切っていられるのですから、人生、最後までわからないものだと思います。


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コメント

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No title

ばーばむらさきさま
コメントありがとうございました(*^^*)

講座再開良かったですね!
コロナ感染者数はまだまだ高止まりですが。。。Withコロナの生活が少しずつ歩き始めた感じ。
日々を楽しみながら過ごしたいですね♪

No title

madamyukaさま

コメントを有難うございます。

その後、ワクチン接種の副反応は出てらっしゃいませんか?私の周りでも、4回目は殆ど副反応無し、という人が多く、私は自分の日頃の行いがよっぽど悪いのかな?なんて思っているくらいです(笑)

withコロナの生活の中で、感染せずに上手に切り抜けて行きたいですね。 madamyuka さまも、気をつけてお過ごしくださいませ。

No title

 ばーばむらさきさんが「紫式部は仏教を信じていないのでは?」と考えられるのは、この、女三宮がお経を隠すとか、息子の出家を望まないといった点かも知れないと思ったりします。逆に言えばどこか人間臭い。共感しやすい場面かな?と思ったりします。『無名』はゆっくり読みます。まだ全然途中です・・・。

No title

まっちゃんさま

コメントを有難うございます。

貴ブログのコメントに、「紫式部が、真に仏教を信じていなかったからではないか」と書いたのは、ちょっと語弊がありますね。『源氏物語』全体の根底にあるのは、仏教的「宿世観」ですし・・・。

もう少し的を絞った言い方をするなら、「仏教に救いを求めてもそれで救われることは無い、と思っていた」となりましょうか。ですから、出家するヒロインたちも、仏道一筋に生きたくての出家ではなく、藤壺は源氏の求愛から逃れるため、女三宮は柏木の子を産んで源氏から疎まれているのに耐えられなくて、浮舟は中将(横川僧都の妹尼の亡き娘の婿)に言い寄られるに及び、出家を手段として出家しています。出家後の展望は何もないので、煩悩からの脱却もままなりません。そこで『源氏物語』は終わっています。「出家しても、仏様にすがっても、救われるわけではない」、と作者が考えていたからこその結末では、と思うのです。

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