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今のテレビドラマを見ているような・・・

2022年8月30日(火) 高座渋谷「源氏物語に親しむ会」(通算161回 統合111回)

昨日、今日と秋を感じさせる凌ぎ易い日が続きましたが、明日からは
また真夏日の復活となるようで、やはり本格的な秋の到来は彼岸迄
待つことになるのでしょうか。

会場での講座をオンライン参加でも可能な形にして2回目、今日は
お二人の方がオンライン参加をなさいました。会場に着いてから、
LANケーブルを忘れたことに気づき、事務所に頼んで貸していただき
ました。「本当は貸し出しできないんですけど、特別にお貸しします」
と言われましたから、もう二度と同じ失敗は許されません。肝に銘じて
おかねばなりませんね。

講読は第39帖「夕霧」の後半です。夕霧は落葉の宮と一夜を共に
過ごしたものの、その後本人の訪れがなく、それを気に病んで重篤と
なっていた母・御息所は、三日目も手紙だけが届いたショックで、
とうとう亡くなってしまわれました。母君を死に追いやった夕霧を、
落葉の宮は到底許せず、夕霧からのお便りには一言の返事もない
まま、一ヶ月近くが経ちました。

しびれを切らして小野へと出掛けた夕霧でしたが、落葉の宮との対面
が叶うはずもなく、空しく京へと帰って行きました。

三条殿に戻って来ても夕霧は、「心はそらにあくがれたまへり」(上の空
で心ここにあらずでいらっしゃる)という状態でした。

これまでは浮気一つせず、周囲からも「幸せな夫婦」と思われ続けて
きただけに、妻の雲居雁も、夜も眠れない程嘆いています。

「夜も明けがた近く、かたみにうち出でたまふことなくて、背き背きに
嘆き明かして、朝霧の晴れ間も待たず、例の文をぞ急ぎ書きたまふ」
(夜も明け方近くなって、お互いに話しかけなさることも無く、背中を
向け合って嘆き明かし、朝霧が晴れるのも待たずに、夕霧はいつもの
ように、落葉の宮への手紙を急いでお書きになる)。

このシーン、今のテレビドラマでもありますよね。妻が先に寝室で、
背中を向けて寝ているところへ、夫が入って来て、お互い声を掛ける
こともなく、夫も妻に背を向けて横になる。顔がアップになると、妻も
夫も無言のまま悶々とした表情を見せている。それぞれの思いに
眠れぬ夜を明かし、早朝に、夫はそっとベッドを抜け出して、今なら
スマホで別の女性にメールしている、といった感じでしょうか。

千年前の物語も、今のテレビドラマも変わらないのねぇ、と共感を
覚える場面なのですが、テレビドラマの中で、交差することの無い
夫婦の心のすれ違いを端的に表すことが出来る手法として、取り
入れられているものを、既に千年前の物語で表現しているという
ことに、我々は感嘆すべきではないかと思うのです。


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コメント

No title

ばーばむらさき様
「百人一首」に秋の歌を取られたのに合わせて秋の気候となったようで、驚いていました。なるほどとよく納得できる解説に感嘆、学ばせていただきました。

また、源氏物語の講座では会場での対面講座と同時にオンライン参加もできるということでおどろきました。各自タブレット乃至パソコンを持ち込みでしょうか?それともパソコンは持参しなくても会場でお借りできるのですか。


今回の千年を超えたテレビドラマシーンへの置き換え、あるあるで、にやりとしてしまいました。

No title

keikoさま

コメントを有難うございます。

折角秋風が肌で感じられるようになった、と思った二日間でしたが、今日の最高気温の予想はこの辺りで33度。まだまだですね。

会場で対面講座をしながら、同時にオンラインでの参加も可能なのは、高座渋谷のクラスだけです。教室内でWi-Fiが自由に使えるようになっていて、私がパソコンとLANケーブルを持参すれば、OKなのですが、昨日はそのLANケーブルを忘れてしまい、💦💦💦でした。オンライン参加の方々には、予め招待メールを送っておき、時間になったらご自宅のパソコンから入っていただいております。

人間の取る行動も、基本的には千年前も今も変わっていないことがわかり、面白いですね。

No title

ばーばむらさきさま。こんにちは。今日はまた暑くなり、数日の涼しさに慣れた身体にはこたえます。

ご無沙汰いたしました。私はこの夏は生きているのがやっと、という感じで大層怠惰に毎日を過ごしておりました。ばーばむらさきさまは、暑さに加えて、4回目ワクチンの副作用など大変な中、対面やらオンラインやらでの講読、ブログと大活躍。すごい!

30日は76歳の誕生日でした。かなり年寄りのようでもあり、姉もいるし、元気な先輩方も大勢、というところで、いささか中途半端。しかし残された時間は減る一方なのですから大事にしないと、と思っています。夕霧や雲居雁ぐらいの頃だと夫婦喧嘩も精一杯できましたが、今はもう…。

不順な気温の中、暑さ疲れがでることも。くれぐれもご自愛くださいませ。

No title

萩原さま

コメントを有難うございます。

一日遅れではありますが、お誕生日おめでとうございます!!

今、ブロ友さんがだいぶ前にブログでご紹介になっていた『70歳が老化の分かれ道』という本を、図書館で借りて読んでいます。この本を申し込んだのが昨年の9月、ほぼ1年待ったことになります。そして、私のあとの予約数が何と114人。若い人が読むとは思えないので、いかに「老化」を気にしている高齢者が多いか、ってことでしょうね。本自体のボリュームはないので、返却期限までには読めそうです。

基本的には、好きな事に打ち込んで、好きな物を食べてが一番、みたいな感じですね。出来るだけそうしたいところですが、物価はどんどん上がるわ、年金は下がるわ、で、食料品一つを買うにも頭を悩ませているのが現実です。

差し当たっての目標は「健康寿命」を伸ばす、ことでしょうか。萩原さまはすでに達成しておられますが、もっともっと伸ばして、後輩の見本となってくださいませ。

また暑さが戻って来てしまいました。どうぞ恙なくお過ごしくださいますように。


 あんなに可愛らしく幼い初恋からなのに…。真面目さが裏目にでてるんでしょうか?

No title

脚本家の方も、源氏物語にヒントを得ているのかもしれないですね。
現代に生きる私たちも、そのシーンに共感できているところが、不思議な感じもしますし、遺伝子レベルで感情が受け継がれているのだろうかと思ったりもいたします(^^;;

No title

まっちゃんさま

コメントを有難うございます。

「少女」の巻で、幼い初恋が内大臣によって引き裂かれた時、夕霧はまだ12歳でした。それから6年後、18歳でその初恋を実らせ二人は結婚しました。次々と7人もの子どもに恵まれ、浮気一つせず(藤典侍という公認の愛人はいるものの、身分が違うので、雲居雁の嫉妬の対象ともなりません)、結婚して11年経った時点が「夕霧」の巻です。

倦怠期、というのもあったのでしょうか。夕霧の落葉の宮への思いは浮気を通り越して本気ですよね。根が真面目なだけに、浮気も本気になってしまう、これも今もありそうな話ですね。

No title

utokyoさま

コメントを有難うございます。

私も時々そんなふうに「脚本家の方も、源氏物語にヒントを得ているのかもしれない」って、思うことがあります。

それだけ、人の心の動きというものは変わらないのでしょうね。遺伝子レベルの問題かもしれません。科学技術は先人の残したものを次世代が受け継いで、そこからどんどん発展させていくことが出来るけど、人の心はいつだって誰しもゼロから始まるからだ、と聞いたこともあります。

人の心は変わらないから、古典文学が楽しめるのだとも思いますけど。

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