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明石の入道の登場

2022年10月27日(木) オンライン「紫の会・木曜クラス」(第27回・通算74回・№2)

オンライン「紫の会」の第3月曜日が例会(今月は10/17)クラス
の記事を書いた際、最初に美術展やオンデマンド配信の情報の
お知らせをしていたら、それが長くなってしまい、書こうとしていた
弘徽殿の大后のことは別の機会に、ということにしました。今日
ここでそれを書いてもよいのですが、本日は全文訳が講読箇所
の後半部分ですので、やはりそこに書かれている事柄について
取り上げておくことにいたします。弘徽殿の大后については、
会場クラスでの講読時にご紹介します。

第12帖「須磨」も次回で読み終えられそうな所迄きましたが、ここで
明石の入道の登場となります。「若紫」の巻で、源氏の家来の良清
の口から、「前の播磨守で、一人娘を格別大事に育てている入道の
家がたいそう立派です。大臣家の生まれでありながら、自ら受領に
成り下がった変わり者で、娘が自分の期待通りになれなかったら、
海に身を投げよ、と遺言しているそうです」と、語られた人物です。

第5帖「若紫」での源氏は18歳。今は26歳になっています。この間に
8年の歳月が流れ、ここで初めて、明石の入道本人の登場となった
わけです。

源氏が須磨に謫居していることを知って、入道はその大切に育てて
いる娘を源氏に差し出したい、と妻(娘の母親)に語ります。堅実で
常識的、かつ現実的な妻は、あり得ない話として取り合おうとはしま
せん。それでも入道は頑固に自分の意思を通そうとしておりました。

実は、入道には「神の御しるしをぞ、人知れず頼み思ひける」(神の
ご霊験を人知れず期待していた」ことがあり、その訳が明らかになる
のはまだまだ先の、第34帖「若菜上」においてです。その時源氏は
41歳。ここから更に15年後の話となります。

こうして見ると、明石一族を巡る物語の構想は、既に「若紫」の巻が
書かれた時点で、出来上がっていたと考えられますが、実に壮大な
構想ですね。

ここで唐突に(とは言っても、読者にも「ああ、あの時良清が話して
いたわね」と、わかるように「若紫」で布石が打ってある)明石の入道
とその娘の話が挿入されたことで、物語の近い将来に、この明石の
入道の娘が源氏との関りを持つようになるのではと、予測が立ちます。
須磨の浦と明石の浦は、約8㎞しか離れていない場所ですし、次の
巻名は「明石」ですから。

今日ここで紹介した明石の話の全文訳は(⇒こちらから)どうぞ。


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