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隠れ家での二日を過ごしたのち

2022年11月16日(水) 湘南台「源氏物語を読む会」(第236回)

コロナの感染者数がまた増加に転じています。第8波が始まったの
でしょうか?東京では昨日から1万人を超えていますが、神奈川で
1万人を超えるようになると、会場での例会がまた難しくなるのでは、
と案じているところです。

このクラスは先月、第51帖「浮舟」のハイライトシーンである、匂宮が
浮舟を連れ出して小舟で宇治川を渡る場面を読みましたが、今日は
続いての対岸の隠れ家での濃密な二日間を過ごすところから、逢瀬
の後の浮舟の心の揺れが始まったあたりまでを読み進めました。

匂宮に惹かれる気持ちが抑え難くなっている浮舟。でも、母君や乳母
は、薫が浮舟を京に引き取り、妻妾の一人として扱おうとしていること
に「いとめやすくうれしかるべきこと」(とても世間体も良く、嬉しいこと)
と、ホッとしています。自分でもそう願っていたはずなのに、今浮舟の
脳裏に浮かぶのは匂宮のことばかり。うとうとしても夢に現れるのは
匂宮、という有様でした。

自由に宇治へ通うことが許される身分ではない匂宮ですが、浮舟への
思いが情熱的な言葉で綴られた手紙が送られてまいります。浮舟の
匂宮への恋心は一段と募りますが、かと言って薫を嫌っているわけで
はありません。思慮深くお人柄が立派な方だ、と好意を持っているだけ
に、いっそう悩むことになるのです。

「薫が匂宮とのことを知って疎まれることになったら生きて行けようか。
薫の妻の一人として京へ迎え取られることを楽しみにしている母親
からも、とんでもない娘だと思われよう。今こんなに私に夢中の匂宮
は、浮気なご性分だと聞いているから、きっと今だけのことだろう。
百歩譲って私を京に囲って愛し続けてくださってとしても、中の君が
それをどう思われるだろう。二条院での出来事だけを手掛かりに匂宮
が自分を見つけ出されたことからしても、同じ京の内で薫に知られずに
済むことはあるまい。ここで道を外して薫に疎まれては、それはやはり
悲しいことであろう」

ここでの浮舟の心中です。利口とは言えない浮舟ですが、それでも
わかってはいるのです。理屈ではわかっていてもその通りにできない、
これが人の性(さが)というものかもしれません。千年も前に、それを
物語のテーマとして取り入れているところに、『源氏物語』の凄さを
感じますね。


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