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「炭火」に対する思い

2023年2月17日(金) 溝の口「枕草子」(第49回)

「名のみの春」が続いていましたが、今日はようやく最高
気温が11度まで上がり、厳しい余寒も一段落となりました。
このあと、明日、明後日と気温は上がり続けて、日曜日は
4月の暖かさになるとのこと。気温変化が急激過ぎて戸惑い
ますね。

本日の「枕草子の会」では、あの名高い「香炉峯の雪」の段
を含む第275段~第282段迄を読みましたが、「香炉峯の雪」
(第280段)はオンラインクラスで講読時に取り上げています
ので(⇒こちらから)、今日は第279段の「炭火」についての
作者の好みや感性をご紹介しておきたいと思います。

当時は節分には居場所を変える「方違へ(かたたがえ)」という
風習があり、それを終えて、まだ夜が明ける前に自宅へ戻る
時の寒さといったら、「頤(おとがい)などもみな落ちぬべき」
(顎もガクガクになってすっかり外れてしまいそう)だったのは
当然でしょうね。

やっとの思いで帰り着き、火桶(丸火鉢)を引き寄せて、一点
の黒ずみも無く、燃え盛っている炭火を灰の中から掘り出した
時の喜びは如何ばかりか。「いみじうをかしけれ」(とてもしみ
じみと嬉しく思う)、これも納得です。

また、話に夢中になっている時に、他の人が炭火が消えそう
なのに気付いて、炭を継ぎ足してくれる行為に対しては、話の
腰を折る余計なお節介、と感じているのも、如何にも清少納言
らしい気がします。

火鉢の中の炭の置き方にも拘りがあり、火種となる炭の周囲に
炭を置くのが適切で、火種の炭を一度脇にのけて、新たな炭を
重ね置いた上に火種の炭を戻すやり方は「いとむつかし」(甚だ
気に入らない)と言っています。

清少納言版、「炭火」の取り扱い上の注意事項、とでもいうべき
書き方で、面白いですね。

現代は、灯油や電気、ガスといったエネルギーを使った暖房で、
外が寒くても室内では快適に過ごせます。でもそれは長い歴史
から見れば、ごく最近のことです。今でこそ、こうした光景を目に
することは殆どありませんが、この時代の暖房と言えば火鉢位
のもの。それだけに火鉢の有難味は、我々には想像し難いもの
だったでしょうし、「炭火」に対する感覚も、繊細であったのかと
思われます。


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コメント

No title

ばーばむらさき様

清少納言の炭へのこだわり、面白かったです。
茶道の炭手前を思い出して「いとむつかし」と言われしまうわ!
とか笑ってしまいました。


平安時代とは桁違いにしても、寒い中燃える炭の美しさとありがたさは
変わらぬものかもしれません。

No title

こんにちは。

炭火、あの香りが好きでリビングに火鉢を置いていたことがありました。
夜寝るときの埋火の調子が今一つ習得できなくて、
朝すっかり燃えつくして至り、逆に灰の中で火が消えていたりでした。

何より備長炭の切れはしでもお値段が、想像以上にお高くて…
1年でやめました。

何かと蘊蓄のある清少納言、ちょっと面倒な人物で友達にはなれないかもしれません。

No title

soubokuさま

コメントを有難うございます。

清少納言の「炭火」へのこだわり、面白いですよね。効率的な方法をいうなら、新しい炭を重ねた上に、火種となる炭を載せるほうだと思うのですが、それでは清少納言の美意識にそぐわなかったのでしょうね。

今は暖房として炭火を取り入れる家庭は少なくなっていると思いますが、この段を読むと、まだ物も豊かではなく、暖房は炬燵(それも炭火での)と火鉢だった子ども時代が懐かしく思い出されます(ばーばですねぇ~)。

No title

こすずめさま

コメントを有難うございます。

炭火の香り、赤く燃える時のパチパチという音、エアコンやヒーターには無い趣がありますね。

清少納言は、自分の好みがはっきりとしていて、それを率直に語る人ですね。ですから、こういうタイプの人とは少し付き合えば、自分と合う、合わないは判断し易いかと思います。紫式部のように、表裏のある人のほうが、お付き合いは難しいかもしれませんね。
 
「オペラ源氏物語」も明日となりました。こすずめさまが感動されたフジコ・ヘミングのピアノ演奏会も、5月に聴けるチャンスが巡って来ました。

No title

清少納言は、所作についてのこだわりが強い方だったようですが、だからこそ、日々のちょっとした出来事にもさまざまな感情を持ったのだろうと思いました。
まだまだ寒い日が続きますが、暖房器具の取り扱いには気をつけていきたいですね。

No title

utokyoさま

コメントを有難うございます。

清少納言は自分の美意識に基づく拘りがあって、そこから外れるものに対しては手厳しく批判しています。でも、自分の気持ちを率直に伝えているので、憎めない部分もありますね。

今日は日中、随分気温が上がりましたが、明日からはまた週の前半は寒くなるようです。まだ暖房は必要ですね。三寒四温のこの時季、気をつけてお過ごしくださいませ。

No title

火鉢があったんですね、平安時代。

先日の神楽坂で昔の日本家屋で、
(昔といっても、100年もたってないですね)
寒い思いをしましたが

1000年以上昔の貴族の家って
あの夏仕様のあの寝殿造りですね、
さぞさぞ寒かった事と思います。

話の腰をおられても暖かい方がいいでしょうにと
思ってしまいますが、清少納言はそういう人なんですね。

それにしても私の親が子ども時代の暖房は
やはり火鉢や掘りごたつ、炭ですね。
平安時代とかわりませぬ。

電気・ガス・灯油の暖房なんて
ほんと最近のことなんですね。

今日の記事からいろんなことを思い巡らせました。
楽しかった♪

No title

ツモリアさま

コメントを有難うございます。

そうですよね、平安時代は「炭火」が唯一の暖房源。広い木造の寝殿造りのお邸を思うと、どんなにか寒かっただろうと思います。そんな中での清少納言の拘りには、「さすが~」と感じさせるところもありますね。

私の子供時代でも、幼い頃にはまだ石油ストーブも無かったので、今は本当に恵まれていると思います。

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