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入道のチャンスは誤解から

2023年2月23日(木) オンライン「紫の会・木曜クラス」(第31回・通算78回・№2)

今月のオンライン「紫の会」は、第13帖「明石」に入って3回目と
なりました。

源氏が明石に移り住んで半月余り。明石の入道は、何とか娘の
ことを源氏に話したいのですが、そのきっかけが掴めないまま
日が過ぎておりました。

京を離れて既に一年が経ち、堪え難い恋しさに駆られながら弾く
琴の琴(きんのこと)の音色に惹かれ、やって来た入道は、自宅
から琵琶と箏の琴を持ってこさせ、見事に琵琶を奏でるのでした。
源氏は勧められるままに、箏の琴を少しお弾きになりました。

源氏が「これは、女の、なつかしきさまにてしどけなう弾きたるこそ、
をかしけれ」(箏の琴は、女が、優し気な様子で、くつろいで弾くの
こそ、趣深いものだ)と「おほかたにのたまふを」(通り一遍のこと
としておっしゃったのを)、入道は、源氏が娘の箏の琴の演奏を
聴きたがっておられる、と勘違いしてニンマリとし、自分は醍醐天皇
の御奏法を弾き伝えて三代目になること、そして娘がそれを見よう
見真似で弾きこなしていると語ります。更には娘は琵琶の演奏に
抜きん出ていることを伝え、源氏の興味をそそるのでした。

のちに第35帖「若菜下」で、六条院の「女楽」の場面が出てまいり
ます。女三宮の琴の琴、明石の女御の箏の琴、紫の上の和琴、
そして明石の上(入道の娘)の琵琶です。この四人の女君の中で
比較の対象にもならない程身分的に劣っているのは明石の上です。
でも、楽器の演奏においては、彼女は先ず最初に、「すぐれて上手
めき」(格別の名人級)と紹介され、琵琶を弾く撥さばきは神がかって
いる、とまで評されています。

勘違いからとは言え、ようやく娘の話を切り出すことの出来た入道。
娘の弾く琴の音を聴いていただきたい、と言いながら、「うちわなな
きて涙おとすべかめり」(身を震わせて涙を落としているようだった)
という入道の姿は、自分の思いをやっと源氏に吐露できた興奮ぶり
が伝わってきますね。

この場面、詳しくは先に記しました〈全文訳・第13帖「明石」(6)〉を
お読みいただければと存じます(⇒こちらから)。


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コメント

No title

ばーばむらさき 様

六条院の「女楽」の場面の読みを楽しみにしております。ご存知のように、『とはずがたり』の巻2には『源氏物語』の六条院の女楽を真似ての催しがなされますが、琵琶の奏者である作者二条は「明石の君」役になります。これが後々まで影響する大きな出来事にまで発展していきます。

『とはずがたり』は、『源氏物語』の世界が鎌倉時代の朝廷生活においての模範であったことが具体的に読み取れる作品なのではないでしょうか。

No title

keikoさま

コメントを有難うございます。

この「紫の会」が、私にとって『源氏物語』の最後の講読会と思っていますが、今第13帖「明石」で、「女楽」の場面が出て来る第35帖「若菜下」迄読み進められるのは、何年後でしょうか、7、8年後?

でも、こうしてkeikoさまが「楽しみにしております」と書いてくださってことで、ここまでは頑張りたいな、という気持ちが高まってきました。ブログも続けてないといけませんね。

『源氏物語』が後世の作品に与えた影響も、計り知れないものがあると思いますが、『とはずがたり』もそうですね。時代も比較的近いので、近世の作品などに比べると、影響力が直接的な感じもいたしますね。

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