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源氏、入道の娘との結婚に同意

2023年3月20日(月) オンライン「紫の会・月曜クラス」(第32回・通算79回・№2)

今日はオンラインでの講読会が終わってから、白内障の術後
一年の検診に行ってまいりました。視力も、眼底検査も、問題
なく、これで右目の白内障手術に関しては、術後観察も終了と
いうことになりました。

オンライン「紫の会」は、第13帖「明石」の中盤を読んでいます。

源氏の弾く琴の琴の音に惹かれやって来た入道は、合奏をし、
娘が箏の琴や琵琶の名手で、ぜひ源氏にもお聴かせしたいと
語り、源氏も興味を持ちました。

夜が更けてからも、源氏と入道の話は弾み、ついに入道が、
「この娘のありさま、問はず語りに聞こゆ」(自分の娘のことを
尋ねられもしないのに、自ら語り始めた)のでした。

入道は、源氏がこのような田舎にかりそめにも移って来られた
のは、自分が長年祈願し続けて来たことを、神仏が不憫に
お思いになったからではないか、と言い、この18年間、住吉の
神を頼って毎年春と秋に欠かさず住吉神社にお参りしてきた
ことや、何よりも娘に関して抱いている高い望みを叶えて欲しい
と、勤行の際もそれを第一に祈っていることなどを、源氏に告げ
ました。それは、娘が生まれた時から期待するところがあるから
で(その訳が明かされるのは、第34帖「若菜上」まで待たねば
なりませんが)、何とか都の高貴な方に縁づかせたい、と願って
いることを、切々と訴えるのでした。

この入道のどこか神がかった話に、源氏は、自分がこのように
都を離れ、須磨から明石へと流離って来たことに、「浅からぬ前
の世の契り」(計り知れない前世からの因縁)を感じ、「さらば導き
たまふべきにこそあなれ」(そういうお話なら、私をお引き合わせ
くださるということなのですね)、と入道の申し入れ(娘との結婚)
に同意したのです。

なぜ源氏と入道の娘が結ばれる話を、ここまで神がかりなもの
にしなければならなかったのか。それはいくら大臣家の出身では
あっても、現に受領階級に身を落としている入道が、娘を源氏の
ような高貴な方と結びつけようとすること自体、いかに非現実的な
不自然な話だったかを意味しているからだと思われます。

父の見た瑞夢のことなど知らない娘は、この常識ではありえない
身分違いの結婚を、素直に受け入れることが出来ないというのも
当然だったと言えましょう。

この場面について詳しくは、先に記した全文訳をご覧頂ければ、と
存じます(⇒こちらから)。


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コメント

No title

ばーばむらさき 様

白内障の手術をお受けになっていたんですね。術後観察も終了とのこと、一安心ですね。良かったです。

ところで、明石の巻には入道が、「この娘のありさま、問はず語りに聞こゆ」とあって、「問はず語り」の語がみられますね。確か橋姫の巻にも弁尼が薫の出生の秘密を語る場面に使われていると記憶しているのですが、『源氏物語』の中では他にございますでしょうか。

お気づきになられている箇所がございましたら、お教えいただけると嬉しいです。


No title

keikoさま

コメントを有難うございます。

『源氏物語』では、「問はずがたり」という語は何度か見かけた気がするので、心当たりのあるところを、何ヶ所か確認してみました。keikoさまのおっしゃっている「橋姫」では、弁が薫に語った昔話に対して二度「「問はず語り」という表現が用いられていますね。

「明石」でも、ここで引用した以外にも、源氏が自ら手紙で紫の上に入道の娘とのことをほのめかした際に「問はず語り」という語を用いています。また「竹河」の冒頭で、髭黒家の悪御達の「問はず語りしおきたる」と使われていますね。今思い出せるのはこれ位ですが、他にもあったと思います。気づきましたら、またお知らせいたします。

No title

ばーばむらさ 様

「明石」「竹河」「橋姫」に「問はず語り」という表現がみられるとのことですね。早速のご教示ありがとうございました。

春らしい気候になって桜とWBCへの期待にに沸き立つ中ですが、週末は雨の予報で、気温も花冷えに変わるとか、どうぞご自愛くださいませ。

No title

白内障の術後検査 異常なく無事に過ごされ 安心されましたね。
これからも目は大事ですので
酷使されず お疲れになりませんように お気をつけてあげてくださいね。

No title

いとこいさま

コメントを有難うございます。

白内障の手術では、いとこいさまのほうが先輩でいらっしゃいますね。
ゴンちゃんの旅立った日が術後の検査日だったと、記されていたことを憶えております。

術後も問題なく過ごせていることに感謝しつつ、おっしゃる通り、この先も大事にしたいと思います。

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