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『枕草子』の「枕」って何?

2023年6月16日(金) 溝の口「枕草子」(第53回・最終回)

今日は出掛ける30分位前に、俄かに空がかき曇り、雷鳴と
共に物凄い雨が降ってきました。「えーっ、嫌だなぁ」と思い
ながら身支度をしていたら、10分程度で雨は止み、その後
は真夏の日差しが照り付けて、家を出る時には、紫外線が
気がかりなお天気となっていました。

2016年の10月から溝の口で読み始めた『枕草子』は、途中
コロナ禍で、2年4ヶ月の中断を余儀なくされましたが、本日
無事に読了となりました。完読にたどり着けた喜びと同時に、
名残惜しさのような一抹の寂しさも感じているところです。

『枕草子』の最後は「跋文」(あとがき)で締めくくられています。
この「跋文」の中に、『枕草子』の「枕」が意味するもののヒント
も書かれているのですが、これが未だに何であるのか決め手
がありません。

中宮定子の許に、内大臣(定子の兄・伊周)が、献上なさった
という紙を、中宮さまが清少納言にお見せになって、

「これに、何を書かまし。主上の御前には『史記』といふ書を
なむ、書かせたまへる」(これに何を書いたらいいかしら。帝は
『史記』という漢籍をお書きになったわ)

と、おっしゃったので、

「まくらにこそは、はべらめ」(それならまくらでございましょう)

と申し上げたところ、中宮さまは、

「さば、得てよ」(それなら、お前にあげよう)

と言ってお与え下さった、というのです。

「一条天皇は『史記』を書き写された」→「中宮さまならまくらでしょう」
→「それならお前にこの紙はあげよう」

中宮さまと清少納言のこの会話から「まくら」の謎解きをしなければ
なりません。いろんな人がいろんな説を出していますが、決定打
となるものがないのです。

「まくら」が、何かしら中宮さまのおっしゃった『史記』から連想される
ものであることは確かでしょう。

「しきたへの」が「まくら」に掛かる「枕詞」であっても、具体的に
「まくら」が何を指しているのかはこれだけではわかりません。

「まくら」を、「枕許に置いておくメモ帳」、「人目には触れさせない
大切なもの」、「枕詞を集めたもの」などとして、二人の間での
ダジャレ感覚で、『史記』=「敷」。だから「敷」の上に置く「枕」。
或いは馬具の「鞍褥」(しき)の上に置く「馬鞍」(まくら)とする
説は、言葉としての繋がりは良いのですが、冗談にもせよ、
帝を下に敷くなどという不敬な発言はあり得ないのではないか、
とも考えられています。

『史記』=「四季」。こちらは、「春はあけぼの」に始まる四季の
風情から『枕草子』の筆が起こされているのを鑑みても、とても
良さそうなのですが、「まくら」が今一つ上手く「四季」に呼応しま
せん。

そんなこんなで、「枕」の意味するところは、タイムマシンにでも
乗り、清少納言に会いに行って「どうして中宮さまのおっしゃった
『史記』に反応して、あなたは「まくら」って言ったの?」と訊くしか
正解はないのかな、と思ったりしています( ´艸`)

でも、中宮定子と清少納言の間では、『史記』→「まくら」で、
ピピっと通じ合うものがあったのですよね。

結論の出ない話を長々と書いてしまいましたが、『枕草子』の
最終回ということで、ご勘弁ください。

今後は『源氏物語』一本になりますが、引き続きよろしくお願い
いたします。


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コメント

No title

ばーばむらさき 様

『枕草子』講読を完了されたのですね。「おめでとうございます」と申し上げるべきところでしょうが、私も一抹の寂しさを覚えております。オンライン講座をおススメいただいたように記憶しておりますが、私の方に余裕がなくてそのままお返事できませんでした。

テキスト本として何を使われているのかと思いながら図書館で該当する段を読んだりして、勉強させていただきました。 ありがとうございました。

No title

私も、「枕」の部分は何だろうと思っていましたが、枕草子が書かれた当時、「枕草子」という言葉は普通名詞として使われてもいたのですね。
作品の内容が分かるようなタイトルでない分、より一層魅了されるのかもしれませんね。

No title

keikoさま

コメントを有難うございます。

コロナで予定よりも2年半近く遅くなってしまいましたが、会場での「枕草子の会」も、無事に終えることが出来ました。

keikoさまにオンライン講座をお勧めしたのは、もし『とはずがたり』をオンラインでやってくださったら、私も参加したいと思ったからです。二度目をお始めになった今、ご検討いただければ有難いです。ブログでの勉強も良いのですが、やはりオンライン講座で、すべてを学習出来たらもっと嬉しいです。

No title

utokyoさま

コメントを有難うございます。

ホントに不思議な話なんですよね。『源氏物語』と並んで王朝文学として名高い『枕草子』ですが、その「枕」の意味が1,000年以上経ってもなお解明されていないというのは・・・。

中宮定子と清少納言の間には、傍で聞いていても第三者には意味不明な会話が暗黙の裡に了解し合えていた、ってことかと思います。清少納言が仕え始めてすぐに、二人の信頼関係は築けていたようですね。

今でも、上司とこうした信頼関係が築けると、仕事も楽しくできるでしょうね。


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