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人生ってわからないもの

2023年7月14日(金) 溝の口「源氏物語を読む会」(第170回)

三日間続いた猛暑日の後、昨日から少し落ち着きましたが、
また連休中には猛暑が復活し、体温を超える暑さになるとの
こと。覚悟が必要ですね。

「宿木」の巻の第3年、2月の初旬に薫は権大納言兼右大将に
昇進し、中の君は匂宮の若君を出産。そして20日過ぎに、
今上帝の女二宮の裳着(女性の成人式)の儀式が行われ、
翌日の夜から、薫が婿として通うことになりました。

在位中の帝が、内親王に婿を迎えるというのは極めて稀な事
で、多くは帝の譲位後、または崩御後だったので、こうして帝の
直々の采配によって、皇女の夫となった薫には、夕霧も「めづら
しかりける人の御おぼえ宿世なり」(めったにない薫への帝の
ご信望、薫の強運だ)と、羨望の眼差しを持って語っていますが、
この語っている相手が落葉の宮なのです。

続けて、「あの源氏でさえ、女三宮との結婚は朱雀院が晩年に
出家なさった時だったし、私(夕霧)に至っては、誰も承知しない
あなた(落葉の宮)をどうにか手に入れたのですからね」と言う
ので、落葉の宮は「げにとおぼすに、はずかしくて御いらへも
えしたまはず」(本当にそうだった、とお思いになると、恥ずかし
くて、お返事もお出来にならない)という様子を見せていました。

前年の8月に養女の六の君(実母は藤典侍)が匂宮と結婚し、
後朝の文が届いた折、六の君に代わって返事を書いていました
(その記事は⇒こちらから)。この時も、落葉の宮は嫌々ながら
夕霧と結婚したけれど、結果としては良かったのではないか、
と思いましたが、ここを読むと、改めて慣れ親しんだ熟年夫婦
として二人がほほえましく感じられるほどです。

落葉の宮が夕霧との結婚を拒絶し通せていたとしても、母を
亡くし、後見してくれる人のいない状況で、落ちぶれて行くしか
なかったであろうことを思うと、再婚から20年余。「人生って
わからないものだなぁ」、と思います。

ここでもう一人、「人生ってわからないものだなぁ」として挙げて
おきたいのが、薫の母・女三宮。

柏木との密通は、女三宮にとっては事故に遭ったようなもので、
しかも柏木の子を身籠ってしまい、それが源氏に知られた時に
は、いくら子供っぽい思慮の足りない女三宮でも苦しくてたまら
なかったはずです。薫が生まれても源氏に疎まれ、出家の道に
逃れたのでした。

でも大人になった薫はしっかりとした孝行息子。その息子は、
女三宮にとっては姪にあたる女二宮と結婚し、女二宮を
三条の宮(女三宮と薫の住まい)に住まわせる提案をして、
母を喜ばせます。薫が生まれる前後の頃を思うと、女三宮は
なんと安らいだ日々を送っていることでしょう。

今日は本文から外れて、こんな余談ばかりをしていたせいか、
進みが悪くなってしまいました。来月で「宿木」の巻を読み終える
つもりでしたが、再来月になりますね🙇


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コメント

No title

人生は、本当にさまざまなことがあり、辛いことのほうが多いような気がしますが、歳を重ねていき安定した暮らしができるというのは、幸せなことですね。
私も、そうなることができるよう、誠実な対応をしていきたいと思います。

No title

utokyoさま

コメントを有難うございます。

本当に人の一生って、最後までわからないものだなぁ、と思います。順風満帆と思われていた人に不幸な出来事が襲い掛かったり、惨めな人生を送っていた人に思わぬ幸運が訪れたり。それはいつの世でも同じなのでしょうね。

『源氏物語』は約75年にわたる大河ドラマなので、そうした人のありようも細やかに映し出していますね。

No title

本当に人生はわかりませんね~。その時その時を必死になって生きてきたつもりでも、後になって振り返ると、目の前の事象に囚われ過ぎていたことに気付きます。心に余裕もなく、常に険しい顔で唇を噛んでいたのかと思うと顔が赤らむ思い・・・過去の自分に「そんなに思い詰めなくてもいいんだよ」と、声を掛けたくなります。「源氏物語」を人生の指針、バイブルとして読むならば、さまざまな女君の生き様を大局的に捉えることが肝要かも知れません。「今はこんなに苦しくても」落ち葉宮、女三宮が辿り着いた平穏な歳月に思いを致せば、景色が違って見えることでしょう。逆もまた然り。どんなに華やかにもてなされ、蝶よ花よとかしずかれても、玉蔓の晩年は悩み多い、寂しいものでした。源氏の一人娘・明石の中宮も、例外ではないように思います。匂宮に心痛め、しょっちゅう発作を起こして皆を集めなければならないのですから。山あり谷ありの人生、自分だけのものとして受け止め悪戦苦闘していると、あっという間に過ぎてしまいます。後悔しても時間は巻き戻せません。こんな素晴らしい大河小説に出会ったのは無上の幸福。さまざまな生き方から、自分の引き出しを増やし、少しでも豊かな気持ちで歩んでいきたいものです。

No title

吹木文音さま

コメントを有難うございます。

仰る通りだと思います。私は折に触れ、「『源氏物語』は人生のバイブル」と言っておりますが、登場人物それぞれの人生ドラマを読んでいると、どこかに自分の人生と重なるところも見えてきますし、「人生、先のことはわからのだから」と、自分を励ますこともできる気がいたします。女君一人ひとりの生き様を取り出して書いてみよう、と思ったのも、それがきっかけでした。

=山あり谷ありの人生、自分だけのものとして受け止め悪戦苦闘していると、あっという間に過ぎてしまいます。後悔しても時間は巻き戻せません=そうです、そうです。吹木さまはまだお若いので、ご自分の目標に向かって、存分にチャレンジしていただきたいと思います。

今はまた日が差して、蝉が鳴き始めましたが、先程は開けていた窓から一瞬にして雨が吹き込み、床がびしょびしょになってしまいました。びっくりしました( ゚Д゚)最近のお天気って、本当にわかりませんね。

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