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新婚の薫の思うところ

2023年7月24日(月) 溝の口「湖月会」(第170回)

天気予報の通り、週明けと共に「猛暑日」が復活しました。
この先1週間、強い日差しが照りつけ、35度を超える日が
続くかと思うとうんざりですが、唯一、洗濯物が気持ちよく
乾くことには期待できますね。

第2金曜日のクラスと同じ、第49帖「宿木」の終盤に入った
ところを読みました。

今上帝の女二宮の裳着(女性の成人式)の翌日から、薫は
婿として、女二宮の住まいである宮中の藤壺(飛香舎)に
通うこととなりました。三日目の夜には露顕(ところあらわし/
結婚披露宴)も行われ、薫も正式に独身生活にピリオドを
打ちました。

ところが、薫に新婚の喜びは皆無です。「心のうちには、
なほ忘れがたきいにしへざまのみおぼえて」(心の中では
いまだ忘れ難い亡き大君のことばかりが思われて)、毎夜
宮中の女二宮の許に通わねばならないのが、「いともの憂く
苦しくて」(とても億劫でつらくて)という状態でした。

女二宮が藤壺に居る限り、帝の手前もあり、薫に夜離れは
許されません。そこで薫が考えたのは女二宮を自邸である
三条宮に引き取ることでした。そうすれば多少の不都合が
あっても、自邸内のことであればカモフラージュできよう、と
いうのが、薫の意図するところだったのだと思います。

薫の母・女三宮と、女二宮の父・今上帝は、朱雀院を父と
する異母兄妹で、朱雀院が取り分け女三宮のことを帝には
頼み置かれたので、兄妹仲も良好で、女三宮は息子の妻と
なった姪の女二宮との同居を「いとうれしきことにおぼしたり」
(とても嬉しいことにお思いでした)とあります。女三宮は、
自分が居室として使っている寝殿(邸内のメインの場所)を、
女二宮に譲る提案までなさる喜びようです。

一方、帝は結婚早々に、女二宮が住み慣れた藤壺を離れ、
婿の邸に移ることに不安も覚えておられましたが、異母妹
である女三宮に「よろしく頼む」とのお手紙を遣わされるの
でした。

帝も女三宮も、女二宮を三条の宮に引き取りたい薫の真意
にまではお気づきではなかったのでありましょう。

三条の宮は、焼失後に新築された邸ですから、そのままでも
申し分ないところを、薫は「いよいよ磨き添へつつ、こまかに
しつらはせたまふ」(更に磨き立てて、念入りにお部屋の調度
も整えさせなさった)のでした。

こうして表向きは誰からも大切にされて、幸せそうに見える
女二宮ですが、今薫の心を占めているのは宇治の八の宮邸
を解体して、山寺の御堂として移築することでした。

源氏に降嫁した女三宮、柏木に降嫁した朱雀院の女二宮、
薫に降嫁した今上帝の女二宮、皇女の降嫁は、いずれも
幸せとは言い難い結婚となっていますね。


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コメント

No title

幸せとはいえない結婚生活,お辛いでしょうね・・・・
子どもが生まれたら、離婚も一層躊躇うと思います。
現代でも、数分に一組は離婚する時代だそうで、他人だった者同士が共に生活することの難しさを表しているなと思いました。

No title

先週土曜日に「梅雨明け」となり、いよいよ夏本番ですね
ただ、今年は梅雨の間にも記録的な猛暑の日が多く、またこれからもあんな日が続くのかと思うと、身の危険を感じるほどです
暑さ対策に気を配って,この夏を乗り切りたいものです

昨日の「宿木」は終盤となり、薫と今上帝の女二ノ宮との結婚
の準備となる、裳着の儀式から始まりました

今上帝の皇女が臣下に嫁ぐというのは,非常に珍しいことで、夕霧も「めずらしかりける人の御おぼえ宿世なり」と賞賛します

ただ、薫本人がこの結婚を少しも喜んでいないことが,女二宮にはとても気の毒に思われます
非常に心遣いの優れた薫ですが、正妻となった若い皇女の気持ちには無関心なのですね
それだけ大君に対する気持ちが深過ぎるということでしょうか

一方、柏木の死後、夕霧が世間を騒がせるほど強引に,柏木の本妻だった女二宮を妻にしたのは22年前とか
以前瀬戸内寂聴さんは「女二宮は、夕霧を嫌い抜いて」とおっしゃっていましたが、まだ喪中であったことや、皇女でありながら
「二夫にまみえる」という行為への抵抗、その相手が亡き夫の親友であったこと、また朝の夕霧の美しさを見て「こんな自分が
このまま愛されるだろうか」という不安な気持ちもあったように思います

先生からお聞きしましたが、まめびとの夕霧は、雲井の雁と女二宮の邸を月のうち半分づつ訪れるというように対等に扱ったとか
子供が出来なかった女二宮には、最も可愛がっていた六の君の養育を任せて存在感を持たせたことで、女二宮はむしろ恵まれた再婚をしたということですね

いよいよ次回は現れると思われる、亡き大君にそっくりの「浮舟」の登場で、ますます寂しい思いをされるであろう、女二宮が気の毒でなりません

No title

utokyoさま

コメントを有難うございます。

女二宮との結婚に、薫の愛情は皆無。義務結婚、といった感じですね。さすがに現代ではこのような結婚をする人はいないのではないかと思いますが、夫が昔の彼女のことを思い続けていて、妻には全く関心がない、では、妻となる人があまりにも可哀想ですよね。

連続猛暑日が始まりました。utokyoさまもどうぞご自愛のほどを・・・。

No title

夕鶴さま

昨日は猛暑の中を振替受講でご参加頂き、有難うございました。加えていつものように、こうして拙ブログへの補足コメントも頂戴できて嬉しいです。

中の君は、この辺りのことはちゃんと見抜いていますが、匂宮は熱し易く醒め易い、薫は誠実だけれど一つのことに執着し易い。女二宮との結婚においても、薫の心を占めているのは大君ただ一人。中の君への懸想も、浮舟とのことも、原点は大君です。ですから、あれだけ行き届いた配慮が出来る薫も、女二宮に対しては冷たいですね。もちろん、表向きの配慮は完璧にこなしていますが・・・でもこれでは女二宮が可哀想ですよね。

『源氏物語』の二人の「女二宮」の降嫁は、どちらも不幸な結婚ではありますが、落葉の宮の場合は、夕霧との再婚当初は世間体の悪さ、皇女としての矜持が保てなかったことに、辛い思いをしたでしょう。でも、その後のまめ人夕霧との結婚生活で、少なくとも夫の愛を感じることはできたと思いますし、六の君の養母となったことで、存在感も増したでしょうね。

ここに描き出された熟年夫婦としての二人の姿には、どこか微笑ましいものを感じますものね。

猛暑復活、只今の外気温37℃の表示が出ております。うぅーっ、堪りませんね。お互いに熱中症にならないよう、気をつけましょう。

また来月、よろしくお願いいたします。

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