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第13帖「明石」の全文訳(17)

2023年7月27日(木) オンライン「紫の会・木曜クラス」(第36回・通算83回・№1)

「紫の会」は、第2月曜日の会場クラス、オンラインの第3月曜日クラス
に続いて、この第4木曜日クラスも、今日の例会で第13帖「明石」を
読み終えました。今月講読の300頁・8行目~309頁・1行目までの、
最後の部分の全文訳となります。今回は短くて、307頁・14行目~
309頁・1行目までです(7/10の全文訳は⇒こちらから 7/17の全文訳
は⇒こちらから)。
(頁・行数は、「新潮日本古典集成 源氏物語二」による)


そうそう、そういえば、あの明石には、源氏の君を見送って来て明石
へ帰る人に託けて、お手紙を遣わします。紫の上に隠れてこまごまと
お書きになったようです。
「波の打ち寄せる夜をいかがお過ごしでしょうか。
嘆きつつあかしの浦に朝霧の立つやと人を思ひやるかな(あなたが
嘆きながら夜を明かす明石の浦に、ため息が朝霧となって立っている
のではないかと、あなたのことを思い遣っていることですよ)」

あの大宰の大弐の娘の五節は、どうにもならないものではあるけれど、
人知れず須磨で贈答を交わした源氏の君への思いも、冷めてしまった
心地がして、ただ目配せだけをさせて、源氏の許に手紙を置いて来さ
せました。
「須磨の浦に心を寄せし舟人のやがて朽たせる袖を見せばや」(須磨の
浦で心を寄せた舟人が、そのまま涙で朽ちさせてしまった袖をお見せ
したいものです)
筆跡など、すっかり上達したものだと、源氏の君は、この手紙を寄越した
人物をお見抜きになって、返事を遣わされました。
「かへりてはかことやせまし寄せたりし名残に袖の干がたかりしを」(返事
にはこちらから苦情を申し上げたいくらいです。あの時お手紙を頂いた
その名残の涙で、袖がなかなか乾かなかったのですから)
とても可愛いとお思いになった女なので、思い掛けない手紙を受け取り
なさって、いっそう思い出されますが、近ごろはそのような色恋沙汰を
完全に慎んでおられるようです。

花散里などにも、ただお便りをなさるだけなので、全く音沙汰がないより
も、心もとなく、却って怨めしいご様子でした。

                               第13帖「明石」(了)

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