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薫、浮舟の死の全貌を知る

2023年8月30日(水) 湘南台「源氏物語を読む会」(第245回)

湘南台クラスの例会日は、第3水曜日なのですが、そのままだと
今月は8月16日。お盆休みとぶつかって、お孫さんたちが見える
方もおられるし、まだ猛暑が収まっていない可能性もあるので、
第5水曜日の今日に変更しました。

でも、1ヶ月前になっての変更だったため、数人の方が、既に他の
予定が入ってしまっているとのことだったので、コロナの感染拡大
時に利用していたオンラインでの例会に切り替えました。参加が
出来ない方にはオンライン例会を録音して、それをCDに書き込み
聴いていただくので、どなたも、今月の講読箇所が抜けることなく
済みます。

今日も最高気温は35℃の猛暑日でした。偶々いろんな事が重な
って、オンラインとなったのですが、この猛暑の中、会場まで足を
運ぶことを考えると、今月の例会はオンラインで正解でした。

このクラスは第52帖「蜻蛉」を講読中ですが、半分位の所まで
まいりました。

突然姿を消してしまった浮舟。右近と侍従は、浮舟が宇治川に
入水して自ら命を絶ったと判断し、薫や匂宮をはじめ、世間には
病死ということにして、亡骸も無いまま、火葬を執り行いました。

薫も匂宮も、浮舟が病で急死した、というのには納得がゆかず、
匂宮は、京へと連れて来させた侍従から事の真相をお聞きに
なりました。

本日読んだのは、それに続く場面で、宇治へと出向いた薫が、
右近を問い質し、やはりこの件には匂宮が絡んでいたことを
知るところです。

右近は先ず、浮舟が病死ではなく、入水であったことを打ち明け
ます。薫には浮舟の入水が俄かには信じ難く、匂宮がどこかに
隠したのではないかと疑い、右近を追求しますが、右近は浮舟
が薫からの詰問の手紙を受け取り(それに関しては⇒こちらから)、
山荘の警備が強化され、薫がその後長らく便りを寄越さなかった
ことで、薫に捨てられて世間の物笑いになるのを悩んだ結果だと、
言います。

これでは埒が明かないので、薫はついに自分から「宮の御ことよ」
(匂宮のことだよ)と言って、「われには、さらにな隠しそ」(私には、
決して隠し立てをせぬように)と、右近に迫ります。

そこで右近は、二条院で偶然匂宮が浮舟を見つけられ、迫られた
けれど、その時は自分たちが浮舟を守ったこと。その後はどうして
匂宮が浮舟の居所をお知りになったのかわからないのだが、この
2月頃からお手紙が届くようになり、浮舟が無視し続けているのを、
匂宮に失礼にならないよう、自分が浮舟に返事を書くよう勧めた。
それ以上のことは何も無い、と語りました。

右近の話には虚実が入り混じっていますが、薫はもうこれで全て
を悟ったのでした。その理由を考えてみましょう。

①右近の立場からすれば、主人である浮舟を庇って、匂宮との仲
の事実を告げることはあるまい。
②匂宮が浮舟を知って、手紙だけで満足するはずもないし、手紙
の遣り取り程度で、浮舟が自死を選ぶというのも不自然である。
③浮舟と匂宮が結ばれたのは、右近たち女房の落ち度でもあり、
それを隠すのは当然であろう。

こうして薫は、浮舟が、匂宮と自分との板挟みに苦しんだ挙句に、
入水したのだ、という事の全貌をようやく知り得たのでした。


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コメント

No title

最悪の決断をする前に相談してほしかったと思いますが,ご本人からすると、そういう気力もなかったり、そうすることでより状況が悪化することを恐れたりということがあるのでしょうね・・・・
残された者は、ずっと後悔し続けることになりますね。

No title

utokyoさま

コメントを有難うございます。

おっしゃる通りだと思います。

浮舟の場合、一番相談したかった母親が、異父妹の出産が近づいていて、ゆっくり話し合える状況になかったなど、物事が上手く嚙み合わない時は、そうしたものなのですよね。

薫は、なぜ浮舟をもっと早くに京に連れてきて住まわせなかったのか、と後悔し続けていますし。

いつの時代も変わらない人の姿を映し出しているのが、『源氏物語』が千年もの間、読み継がれてきた要因の一つでしょうね。

No title

自死を選ぶということは、この時代の女性にとって、とりわけ高位の女性としては考えられない強い手段でした。眉を剃り、扇で顔を隠し、感情を表出しないことが美徳とされていたわけですから。「いなか育ちだからこんな思い切ったことをしたのだろうか」という描写もあったように思います。紫上がついに出家せずに亡くなったことを思い合わせると、現代と同じく、世代が変わると自己主張も強くなるのかな~と複雑です。物語全体を俯瞰して読んだ時と、浮舟や彼女を巡る男君たちを取り出して考えた時とでは読みの色も変わります。それも「源氏物語」の深さですね。

No title

吹木 文音 さま

コメントを有難うございます。

薫や匂宮が、浮舟が自死した、それも宇治川に入水、と聞いた時は、信じられない驚きだったでしょうね。

追い詰められた浮舟には、自ら髪を切って出家、という手段もあったのでは、と思いますが、その後の周囲に及ぼす様々な影響を考えると耐えられず、些か短絡的な方向へと走ってしまった気がします。

現代小説的な見方をすれば、『源氏物語』は「蜻蛉」で終わっていても良かったのかな?と思われるのですが、浮舟を生かして再び登場させたのも、そうした当時の考え方(自死は許されない)が背景にあったのかもしれませんね。

光源氏と女君たち、「宇治十帖」の薫と女君たち、確かに『源氏物語』の変化を感じます。いろんな視点から読むことができて、飽きさせない物語であることだけは、間違いありませんね。


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