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源氏の「終活」

2016年11月16日(水) 湘南台「源氏物語を読む会」(第183回)

私も高齢者の仲間入りをしてから早二年半余りが経ち、段々と
「終活」が気になって来ています。自分の身の回りの物などは、
比較的あっさり処分してしまえるのですが、どうにも捨て難いのが、
手紙と写真です。

そのあたり、今日読んだ「幻」の巻の終盤は、参考になりますね。

源氏は出家の決意が固まってきたところで、これまで捨てるには
惜しいと思われて、残しておいた女君たちからの手紙を破り捨て
られたのですが、これだけは別に保管してあった須磨流謫中の
源氏のもとに届いた紫の上からの手紙も、焼いて処分する決心を
なさいました。

源氏はもちろんのこと、側で手紙を焼くお手伝いをする女房たちも、
悲しみは並大抵ではありません。でも、源氏は手紙を読み返せば、
一段と心も乱れ、傍目にもみっともないことになろうかと、ただ、
紫の上がこまごまとお書きになっている横に、
「かきつめて見るもかひなし藻塩草おなじ雲居の煙とをなれ」
(掻き集めて見たところで、もう紫の上はこの世になく、空しいばかりの
この手紙よ、亡き人と同じように煙となって空に立ち上って行くがよい)
と、書きつけて、全部焼かせなさったのでした。

時に源氏52歳の12月。「桐壺」の巻から始まった光源氏の一代記は、
こうして「終活」も済ませ、出家の準備が整ったところで、静かに幕を
下ろします。


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