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大君がどうしても守りたかったもの

2017年2月19日(日) 淵野辺「五十四帖の会」(第134回)

この季節らしい、少しの春と、少しの寒さを感じる一日でした。

最も進度の早い淵野辺のクラスですが、「総角」の巻の、今日読んだ
ところでは、大君を慕う薫と、それを拒んで、妹の中の君を薫と結婚
させようとする大君との攻防がまだ続いています。

周りの女房たちは、現実的ですから、大君が薫を拒否する理由が
理解できません。人よりも抜きん出て立派で、充分すぎるほどの
経済力もある薫が、これほど望んでいる結婚を受けないなんて、
そんな勿体無い話はない、と思っています。このままでは零落の
一途を辿るしかない宮家に仕える身としては、生活もかかっています
ので、女房たちは当然薫の味方についてしまいます。

ついに薫は弁に導かれて、姉妹たちの寝所に忍び込みます。
いち早くそれを察知した大君は、中の君を残したまま、その場を
逃げ出します。同じような場面が「空蝉」の巻でもあり、忍び込んだ
源氏は、空蝉が逃げ出した後、部屋に残された軒端の荻と、契りを
交わします。でも、薫は違います。中の君には優しく語りかけるだけで、
何事もなく一夜を過ごしたのでした。

それにしても、大君がここまで薫を拒絶して守ろうとしたものとは
一体何だったのでしょう。

それは、父の八の宮が、どんなに落ちぶれようが、あくまで守らねば
ならないとお考えだった「宮家の誇り」でした。

「宮家の誇り」が守れなくなるとは、即ち「人笑へ〈ひとわろえ〉」(世間
の物笑い)となることを意味していました。

薫との結婚が上手く行かなかったら、後見をしてくれる人がいない
自分はどうなるのか、「人笑へ」になるだけではないか。自分だけでは
ない。亡き両親も含め、八の宮家そのものが物笑いの対象となってしまう。
妹は今が女盛りの美しさで、薫を惹き付ける魅力も十分にあるし、自分が
精一杯後見してやることもできる。そうすれば、宮家の誇りに傷がつくことも
あるまい、と大君は考えているのでした。

ある意味、エゴとエゴのぶつかり合いとも言える、薫と大君の結婚を巡る
せめぎ合いが繰り返されるのですが、この大君の意地が、薫にある計画を
思いつかせ、そこからすべてが、大君が考えていたのとは違う方向へと
動き出すのですが、それは次回以降で。


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