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心の中を開いて見せることができたなら・・・

2017年8月3日(木) 八王子「源氏物語を読む会」(第139回)

今日はこの時期としては、涼しく感じられる一日でした。
ここ数日30度を切る日が続いていて、梅雨の頃と、梅雨の明けて
からが、入れ替わってしまったような今年の夏です。去年は今頃が
一番の猛暑でしたね。

八王子クラスも「総角」の後半に入り、今回は大君が死に向かう
ターニングポイントとなる、匂宮の宇治への紅葉狩りの場面を
中心に読みました。

中の君と結ばれても、匂宮は次期東宮とも目されている人物なので、
臣下の薫のように自由に宇治へ行くことは叶いません。

そんな匂宮を見るに見かねた薫は、自分が仲を取り持った責任も感じて、
匂宮に紅葉狩りにかこつけた宇治行きを提案したのでした。

薫が手伝いの人の派遣から、供する料理の材料に至るまで、姫君たちが
恥ずかしくなく匂宮を迎えられるよう、援助を惜しまず、準備万端整えて
その日に備えさせなさったので、当然、大君も中の君も、匂宮のご来訪を
期待して待っておりました。

結果として、匂宮は中の君のもとを訪れることが出来ませんでした。
ごく内密にお出掛けになったつもりでしたが、母・明石中宮の耳に入り、
次々に身分ある人々が宇治へと遣わされ、匂宮は勝手な行動が取れなく
なってしまったのです。

でも、そのような事情を知らない大君は、こんなに近くまで来ながら素通りして
行かれた匂宮を、ひたすら恨み、男性不信に陥ってしまいます。

大君は、自分もこの先生きていたら、薫との結婚は避けられないかもしれない。
その挙句、中の君と同じ運命をたどることになって、あの姉妹は揃って貴人に
捨てられた、と、「人笑へ」(世間の物笑い)になることを恐れ、そんなことに
なったら、亡き両親の顔にまで泥を塗ることになってしまうので、そうならない
うちに、死んでしまいたい、と願うようになったのです。

物事を悪いほうへ悪いほうへと考えてしまう大君ですが、実は匂宮の心の内は、
大君が想像しているものとは全く異なっておりました。

夕霧の娘婿に望まれていることを思うと、大っぴらに中の君を京に迎えるのは
憚られるのですが、かと言って、安易に母・中宮や、姉・女一宮の女房として
仕えさせる気持ちはさらさらありません。それでは中の君は「召人〈めしうど〉」
(お手つきの女房)待遇になってしまいます。匂宮は中の君に対しては、
「もし世の中うつりて、帝后のおぼしおきつるままにもおはしまさば、人より
高きさまにこそなさめ」(もし、御代替わりがあって、帝や中宮がお心積もり
なさっている通り、自分が東宮になったならば、将来即位の暁には、中の君を
誰よりも高い位につけてあげよう)、つまり、ゆくゆくは中宮にして差し上げよう、
との気持ちをお持ちだったのです。

この匂宮の思いが大君に伝わっていたなら、事態は別の方向に向かって
いたのではないでしょうか。でも、この一文は、そこまで物語は書かれて
いませんが、将来の中の君の姿を暗示しているような気もするのです。


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コメント

No title

こんばんはー。
コメントさせて頂いてありがとうございます。
源氏物語は、原文はとても無理で先に進まないので、むらさき先生の訳を拝読して楽しませて頂きます。ありがとうございます。
宇治の雰囲気が好きです。宇治川は流れがとても速いんですね。源氏物語ゆかりの地を旅したいです。
義母は、公民館の読書会のグループで、「源氏物語」を読んでいたみたいです。
今日は、Amazonで買った山本順子さんの(林真理子さんとの)「誰も教えてくれなかった『源氏物語』本当の面白さ」が届きました。
読むのが楽しみです。

Re: No title

ぴょもぎさま

こんばんは。

拙い全文訳ですが、出来るだけ原文に忠実に、また、女房の語りの形式を生かして訳すことを心掛けてはおります。毎月2時間の講読会で読んだところを2回に分けて(第2月曜日と第4木曜日)ブログ上にUPしておりますので、本当に少しづつですが、ご利用いただければ、光栄です。

私も宇治は大好きです。たぶんそれは「宇治十帖」の舞台だからだと思いますが、「朝霧橋」(「宇治橋」よりもひと気のないのがいいです)からの眺めは、千年の時を超えて「源氏物語」の世界にいざなってくれますよね。「宇治上神社」のひっそりとした佇まいも、ここが八の宮邸のあった辺り、と思うと、私では姫君は無理ですが、弁の尼位の気分にはなれます(笑)


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