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夢に現れた女とは?

2017年8月24日(木) 溝の口「紫の会・木曜クラス」(第17回・№2)

このまま秋になってしまうことはあるまい、とは思っていましたが、
いやぁー、戻って来ました猛暑。明日はもっと暑くなるとか。
このところの涼しさに慣れてしまった身体には堪えますね。

第4帖「夕顔」に入って3回目、夕顔の宿で一夜を過ごした源氏は、
夕顔を伴って某院へと出掛けます。

二人だけの濃密な時間を過ごした後、源氏を待ち受けていたのは
恐怖の一夜でした。

今日はその触りまでを読みましたが、ここから夕顔が怪死してしまう
ところまでが、「夕顔」の巻のクライマックスとなります。

夜中になって、うとうととしていた源氏の枕元に美しい女が座って
「己がいとめでたしと見たてまつるをば、尋ね思ほさで、かくことなる
ことなき人を率ておはして時めかしたまふこそ、いとめざましくつらけれ」
と、言って、源氏の傍らで寝ている夕顔を引き起こそうとするので、
源氏がハッと目覚めると、灯りが消えてしまっていました。

この源氏の夢に現れた女のセリフですが、通常は、この直前に源氏が
六条御息所と夕顔を比べていたり、「葵」の巻で、生霊となって現れること
などからして、この幻影を六条御息所と考え、(私がとてもあなたのことを
素晴らしいお方とお慕いしておりますのに、訪ねて下さろうともなさらず、
こんなたいしたこともない女を、連れ出してご寵愛なさっておいでなのが、
たまらなく心外で辛うございます)のように訳すことが多いのですが、
かなり強引に言葉を入れ込んだ訳し方になっています。

文法的にも一番無理のない訳をしますと、(私がとても素晴らしいと
思い申し上げているお方を、お訪ねになろうともお思いにならないで、
こんなつまらない女を連れて来てご寵愛なさるのが、とても心外で
辛うございます)となります。

つまり、「私」は六条御息所ではなく、この物の怪が、「いとめでたし」と
思っている対象が六条御息所ということになります。六条御息所贔屓の
廃院に住む魔物が出て来て、源氏に恨み言を言うわけですが、そんな
自分の恨みでもないことの為にわざわざしゃしゃり出て来て、挙句に
夕顔までとり殺してしまうなんて、ちょっとおせっかいすぎる物の怪では
ないでしょうか。

また、この物の怪は、源氏の六条御息所に対する良心の呵責が生んだ
幻覚に過ぎない、という説もありますが、そうなると、夕顔の突然死の
説明が難しくなります。

物の怪の正体は限定せずに、判断は読者の考えに委ねましょう、と
いう考え方も、近年は結構支持されているようです。

次回は、その夕顔の死と、それに続く場面を読む予定です。


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