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春来たれども悲しみは癒えず

2019年2月8日(金) 溝の口「源氏物語を読む会」(第128回)

溝の口の第2金曜日のクラスと、第4月曜日のクラスは、今月から
光源氏の物語の最終章・第41帖「幻」を読みます。「幻」は短い巻
なので、おそらく来月には第二部まで読了ということになるでしょう。

紫の上の死から4ヶ月余り。妻の服喪期間は3ヶ月ですので、既に
喪も明けた状態で源氏は新年を迎えました。でも、紫の上不在の
春は悲しみが増すばかりで、御簾の内に籠ったまま、拝賀に訪れた
人たちにもお会いにはなりません。僅かに弟の蛍兵部卿宮とだけ
ご対面になったのでした。

紫の上に長く仕えた女房たちも、まだ喪服を身にまとって紫の上を
偲ぶ日々を送っておりました。源氏は所在なさに任せて、そうした
女房たちと紫の上の思い出話に興じることもしばしばでした。

朝顔とのことで紫の上が気を揉んでおられたこと、女三宮の降嫁後
は、ましてや口には出さないものの、どんなに耐えておられたかを
思い出すにつけ、もう一度夢の中ででも逢いたいとお思いになるのも
詮無いことでありました。

読者もまた、こうした紫の上の自己犠牲によって保たれていた六条院
の平和のことを思い出し、源氏と共に、紫の上を追慕することになるの
です。

紫の上を失ったショックでおかしくなって出家した、と人に噂されたくない、
という思いや、召人(めしうど=主人から情けをかけられたことのある
女房)たちが、紫の上がいなくなってしまった上に、自分までが今出家して
いなくなったら、どんなに嘆き悲しむだろうという思いを抱えて、まだ出家
を遂げる時期ではない、と堪えながら、六条院の他の女君たち(花散里や
明石の上)にもご無沙汰のまま、1月は過ぎて行ったのでした。

「幻」の巻は、紫の上亡き後の1年を月次絵のように展開させている巻
です。2月、3月につきましては、第4月曜日の「湖月会」のほうで書きたい
と思います。


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コメント

No title

いよいよ、光源氏の物語も最後の「幻」に入りました

先生が、妻に先立たれた夫はどうしようもないとおっしゃったように、紫の上が亡くなって四か月経っても、源氏はひきこもりを続けています
現代でも、「生まれ変わっても、配偶者と結婚したいですか」と言う問いに、「いいえ」と答えるのは妻の方が多いと聞きます
やはり男性の方が、いろんなことに鈍感だということでしょうか

季節の移ろいに、思い出すのは紫の上のことばかり
あの時、もっと気遣ってやればよかったと、後悔の日々です
女三宮が六条院に入られてからの、、紫の上のつらい立場には、気づいていながらも、その我慢強さに甘えてしまっていたのですね

女三宮や明石の上に会っても、亡き人と比較してしまうのは、随分勝手だなと思いますが(笑)

先生もおっしゃったように、一年もかけて妻を追慕し、これまでのことを反省した源氏を、紫の上は許してくれたことでしょう
自分が死んでいくことよりも、残された源氏の心配をしていた、優しい方でしたから








No title

夕鶴さま

今回もブログに書けなかった部分を補足して頂き、有難うございます。

千年前も今も、結局強いのは女のほう、という気がしますね(笑)。

紫の上は、生前出家を許してもらえず、俗世を離れることが出来ませんでしたが、昇天して解放され、ようやく魂の安らぎを得たのではないでしょうか。

「幻」の巻の源氏を見ていると、失って初めて掛け替えのないものと気づくのだ、と教えられているようでもありますね。

間もなく源氏も物語の世界から姿を消します。来月はその最後の部分となりますので、よろしくお願いいたします。


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