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姿を消した浮舟

2019年4月13日(土) 淵野辺「五十四帖の会」(第160回)

先月、第51帖「浮舟」の3ページ程を残したところで時間切れとなり、
今日は先ず、それを読み終えて、次の第52帖「蜻蛉」に入りました。

「浮舟」の巻の最終回は、夢見が悪かったとのことで、浮舟の身の上
を案じた母君の手紙が届く所から始まりました。

浮舟は、母に対しては辞世の歌を詠み、また母同様に自分の身を
案じている乳母にも、この思いの一端でも伝えられたら、と願いつつ、
実際には一言も口に出来ないでいるのでした。

右近も浮舟の側で横になり、浮舟が薫を選ぼうと、匂宮を選ぼうと、
自分は浮舟に従うつもりであることを訴え、物思いに沈む浮舟を
励まそうとしておりました。

そして「萎えたる衣を顔におしあてて、臥したまへりとなむ」(浮舟は
糊気の落ちた着物を顔に押し当てて、横になっておられた、という
ことです)と書かれて、「浮舟」の巻は幕を閉じています。

母君、乳母、右近、それぞれに浮舟の身を案じながらも空回りして
いる姿を映し出し、それによっていっそう孤絶した浮舟の悲しみが
表出される描き方です。流れ落ちる涙と、嗚咽が漏れるのを着馴れた
着物で押さえていると思われる浮舟が、失踪前の最後の姿となります。

続く「蜻蛉」の巻は、浮舟が姿を消してしまい大騒ぎになっている宇治
の様子を語るところから始まります。

この巻では浮舟は最後まで不在のままです。浮舟は死んだ、と考え
られる中での、薫、匂宮をはじめ、右近、侍従、母君ら、周囲の人々の
動きや思惑が、巧みな描写で展開して行きます。

しばらくは浮舟の登場しない、しかしながら読み応え十分な「蜻蛉」の
巻をご一緒に味わっていただければ、と存じます。


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