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「なるほど、そうよね」

2019年4月19日(金) 溝の口「枕草子」(第31回)

今日はコートが邪魔なくらいの初夏を感じさせる陽気となりました。

溝の口の「枕草子」は、テキストの下巻に入って2回目、第152段から
第154段の途中までを読みました。

第153段に書かれているのは「心もとなきもの」。口語では「心もとない」
と言うと、「頼りなくて不安だ」という意になりますが、古語での「心もとなし」
は、「じれったい」気持ちを表します。

千年前のことですから、事柄自体は今では無いものも多いのですが、
感覚としては「なるほど、そうよね」と共感できることばかりです。

例えば、恋人からの手紙。封など軽くしてあればすぐに開けて見られる
のに、固くしっかりと糊付けされていると、開封に手間取り、じれったくって
堪らなくなります。

薄暗いところで針に糸を通そうとしても、老眼の目には辛くて、ちょうど
若い人などが通りかかると、「ねぇ、ちょっとお願い」と頼むのだけれど、
その人も、要領が悪いのか、気ばかり急いてとんと捗らないとなると、
「ああっ、もう、頼まなきゃ良かった」と、イライラじれったくなってしまう
お話。

牛車で物見に出かけようとしている時に、家族が「ちょっと先に使わせて。
すぐに戻って来るから」と言いながら、なかなか帰って来なくて、もう見たい
行列が始まってしまうような時のじれったさは、情けなさまでが加わります。
これなど、乗用車に置き換えてみると、今でもありそうな事ではありませんか。

それから、一緒に牛車に乗せてあげる人を迎えに行っても、すぐに出て
来ないで散々待たされたりすると、もうじれったくてイライラし、「いい加減に
しないと置いて行っちゃうわよ」と言いたくなる気分、これもわかりますよね。

最後に、体調が悪い時とか、心配事がある時に、夜明け待つ間が、「いと
心もとなし」(すごくじれったい)と書かれています。今だってそうでしょう。

他にも、出産、育児、歌の贈答など、当時の女性の生活全般に渡って、
思うように事が運ばず、イライラしながらじれったく思う場面を取り上げていて、
読めばどれも「なるほど、そうよね」なのですが、それを文章で表現するのは
やはり凡人では出来ない技だと思います。


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