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十四歳の深い悩み

2019年4月22日(月) 溝の口「湖月会」(第130回)

第2金曜日のクラスに続いて、こちらも今回から第三部に入りました。

先ずは、第二部と「宇治十帖」の橋渡し的な役割を果たしている
「匂宮三帖」の最初の巻、第42帖「匂兵部卿」を読みました。

この巻では源氏亡き後、次世代を代表する薫と匂宮が紹介されて
います。

「源氏物語」の男君たちのファン投票をすれば、薫は、ワースト3の
中に入るのではないか、と思われる程、人気の無い人物です。
優柔不断で、じれったく、自分のしたことを後悔ばかりして、結局
好きになった女性を誰一人手に入れることの出来なかった情けない
男です。

でも、その根源にある彼の苦悩を知れば、ファンにはなれないまでも、
同情の余地は少なからずあると思います。

「幼ごこちにほの聞きたまひしことの、をりをりいぶかしう、おぼつかなう
思ひわたれど、問ふべき人もなし」(子供心にちらっと耳になさったことが、
折に触れて気に掛かり、ずっと不安な気持ちを抱えて来たけれど、訊ける
人もいない)とあり、幼い頃から自分の出生の秘密を感じ取っていて、
それを誰に確かめることも出来ないまま、元服期を迎えてしまった、と
いう薫の深い悩みが語られています。

「おぼつかな誰に問はましいかにしてはじめも果ても知らぬわが身ぞ」
(気になって仕方ない。一体誰に訊けば良いのだろう。どのようにして
この世に生まれ、この先どうなって行くのか、全くわからない我が身で
あることよ)

ようやく青年期に達して14歳で元服した薫ですが、こんなに辛く苦しい
思いを独り呟いている姿は何とも哀れではありませんか。私はこの歌を
思い出す度、薫に味方してあげたくなってしまうのです。


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コメント

No title

薫さん、そうだったんですかー。
女性の身分の高さに左右されている薫さんが好きではありませんでしたが、14歳の時の薫の苦悩を知ると、確かに充分同情が湧いて来ました。
たった一人で悩んで可哀想ですね。。
1000年以上も前に、色んな人のそれぞれの事情と、それゆえに生まれる様々な心を表現した紫式部は、、本当にすごい人ですね。

No title

ぴょもぎさま

いつもコメントを有難うございます。

傍から見れば、匂宮も薫も何一つ不自由のない恵まれた人だと思いますが、精神面での自由度がこの二人では大きく違っています。

幼少期から「自分はこの世に生まれて来てよい人間だったのだろうか」という疑問を持ち続けているというのは、可哀想ですよね。

おっしゃるように、そうした様々な人間の姿を描き分けた紫式部の力量は、計り知れないものがありますね。

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