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作者別人説に一票を投じたくなる時

2019年7月12日(金) 溝の口「源氏物語を読む会」(第133回)

天気予報によると、梅雨明けまでにはまだ十日ほどかかりそうです。
今日も、雨が降ったり止んだりのどんよりとした一日でしたが、気温が
この時期としては低いので(夏日にも達していません)、楽です。

このクラスは、今回で「匂宮三帖」の最後の巻、第44帖「竹河」を読み
終えました。

「匂宮三帖」について根強い「作者別人説」が存在することは、以前より
お伝えしてまいりましたが、その中でも今日読んだ、夕霧と紅梅大納言
の昇進に関する記述には、作者別人説を肯定したくなる要素が大です。

「竹河」の巻も終わりに近い、薫23歳の秋、薫は中納言に昇進します。
この薫の昇進と同じ時に、夕霧が右大臣から左大臣に、紅梅大納言が
大納言から右大臣に昇進した、とあります。

第43帖「紅梅」とは年立が逆転しており、「竹河」は薫14歳~23歳まで
のことが書かれ、「紅梅」は薫24歳の春のことが書かれていますが、
「紅梅」でも薫は「源中納言」と呼ばれていますので、薫の昇進に関して
は、何の矛盾もありません。

ところが、同じ「紅梅」の巻で、大納言は大納言のまま、夕霧も、右大臣
と記されています。そればかりではありません。「宇治十帖」に入って、
薫24歳以降の話となる第47帖「総角」より先の巻でも、紅梅大納言は
大納言、夕霧は右大臣のままなのです。

単なる年齢の食い違い程度なら、正編においても所々で見られますし、
問題視することもなかろう、と思うのですが、大納言の、右大臣の大饗
(大臣就任パーティ)のことまで取り上げておきながら、その後官位が
元に戻ってしまい、そのまま話が進行して行くのは、不自然と言わざる
を得ません。

年立の違和感と並んで、この二人の昇進の記述が、私の中では、特に
「竹河」の巻の「作者別人説」に一票を投じたくなる要因となっています。


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