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「御簾の内に」が持つ意味

2019年7月17日(水) 湘南台「源氏物語を読む会」(第215回)

6月の下旬から極端に日照時間の少ない日が続いているとのこと。
農作物への影響も取り沙汰され始めました。実際、きゅうりが安い時の
倍以上の値段になっています。

このクラスは第49帖「宿木」の中盤を講読中です。

匂宮が夕霧の六の君と結婚して、中の君の許へお出でになるのも間遠に
なってしまいました。匂宮の御子を宿しながらも、中の君は自分の立場の
危うさに、気持ちも揺らぎがちです。今更ながら、軽率に宇治を捨てて京
へ出て来てしまった自分が悔やまれ、とにかく一時でもいいから宇治に
戻って心を休めたい、と思いますが、一人では決断しかねて、薫に手紙を
書きます。

手紙には、薫に執り行って貰った父・八の宮の法要のお礼を「みづから」
(直接言いたい)とありました。いつもは差し上げたお便りにも、はかばかしい
お返事も下さらないのに、中の君のほうから、それも「みづから」と書かれて
いては、薫の胸がときめかないわけがありません。

これまでは御簾の外(簀子)に通されていたのに、今日は御簾の内(廂の間)
に招じ入れられます。普通、男性客は、夫や恋人でない限り、女性を訪問して
通されるのは簀子です。話は女房が取り次いで、直接会話をすることはあり
ません。

今の中の君は、とても不安定な心理状態になっているので、自分を顧みて
くれない匂宮(決してそうではないのですが、中の君からすれば冷たい、と
感じられる)に比べ、薫の誠意が一段と有難く思えるのです。そこで中の君
の心の隔てを一つ取り除いた行為が、薫を「御簾の内に」ということだった
のです。これによって薫の中の君に対する恋慕、即ち「宇治十帖第二の恋」
が一気に加速します。

結局、このあと薫は中の君に迫りながら、懐妊の印の腹帯に気付き、それが
ブレーキとなって、何事も起こらないまま、辞去します。

その間の、薫と中の君の男女としての攻防が面白いのですが、それを書いて
いると長くなり過ぎてしまうので、別の機会に譲ることにいたしましょう。


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