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ちょっとだけ古典文法(38)

2019年8月6日(火) 高座渋谷「源氏物語に親しむ会」(通算141回 統合91回)

梅雨明けからまだ1週間余りなのに、連日の猛暑のせいか、梅雨明けがずっと
前のことのように感じられます。今日も35度の猛暑日となりました。明日の予報
も35度です。今年は台風も立て続けに発生しており、気の抜けない真夏の日々
です。あれっ?そんなこと言ってるうちに、もう明後日は立秋ではありませんか!

「ちょっとだけ古典文法」も終りが近づいてきました。

助詞の最終回です。終助詞(文末に付いて、禁止、願望、強意、詠嘆などの
意味を添える助詞)と、間投助詞(文中や文末に付いて、詠嘆を示したり、
語調を整えたりする助詞)です。

★終助詞
1、禁止
①「な・・・動詞の終止形〈ラ変動詞の場合は連体形〉に付く。
 ◎あやまちすな。心して降りよ。(失敗するな。注意して降りなさい。)

②(な・・・禁止の副詞)~「そ」・・・動詞の連用形〈カ変・サ変動詞の場合は
  未然形〉に付く。
 ◎それがしにそのことな聞かせそ。(その者にそのことを聞かせるな。)

2、願望
①「ばや」・・動詞の未然形に付いて、「~したい」という自分自身の願望を表す。
 ◎今しばしここにあらばや。(もうしばらくここにいたい。)

②「なむ」・・・動詞、助動詞の未然形に付いて、他に「~してほしい」と
  あつらえ望む。この「なむ」のポイントは「未然形に付く」です。
 ◎「惟光、とく参らなむ」と思す。(「惟光が早く参上してほしい」とお思いになる。)

③「てしが(か)」・「にしが(か)」・「てしが(か)な」・「にしが(か)な」・・・連用形に
  付いて、「~したいものだ」という、「ばや」よりも、やや遠慮がちな自己の
  願望を表わす。
 ◎かぐや姫を得てしがな。(かぐや姫を手に入れたいものだ。)

④「もがな」(「もが」・「もがも」・「がな」)・・・種々の語について「~だったら
  いいのになあ」という、反実仮想的な希望を表す。
 ◎世の中にさらぬ別れのなくもがな(この世に避けられぬ別れ〈死別〉が
  なかったらいいのになあ)

3、強意(念を押す)・・・体言・連体形に付く「ぞ」と、種々の語に付く「かし」
  がある。「ぞかし」の形で用いられることも多い。
◎これは知りたることぞかし。(これは知っていることでしたよ。)

4、詠嘆・・・体言・連体形に付く「か」・「かな」・「かも」と、種々の語に付く
  「な」・「は」・「も」・「よ」があり、「~だなあ」「~なことよ」という、「詠嘆」を
  表す。終助詞の場合は文末に来る。
 ◎これを見るは、うれしな。(これを見るのは嬉しいことだなあ。)

★間投助詞・・・「や」・「よ」・「を」(「~だなあ」・「~なことよ」)
 ◎閑かさや岩にしみ入る蝉の声(なんと静かなことよ。蝉の声が岩に
   しみ込んでいくようだ)
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「源氏物語」のほうは、ようやく長大な「若菜下」を読み終えて、次の「柏木」に
少し入りました。このあたりが「源氏物語」五十四帖の中で、最も読み応えが
あるところだと、個人的には思っております。

作者紫式部の筆は、人の苦悩する姿を映し出す時に最も冴える気がします。

女三宮の降嫁による紫の上の苦悩。やがてそれが病に倒れるという事態を
引き起こし、柏木と女三宮の密通を呼ぶきっかけともなってしまいました。
密事が源氏に知られ、追い詰められた柏木は、遂に死の床に臥す身となり
ます。

第36帖「柏木」は、死を目前にした柏木の長い心中思惟から始まります。
柏木は言わば「負け組」の人間です。無謀な恋と命を引き換えにしてしまう
馬鹿な男です。でも、その命が消えようとしている柏木の内面に、作者が
「柏木こそあはれを体現した男」であることを証明するかのように寄り添った
形で筆を進めた結果が、登場人物のみならず、読者にも柏木を惜しむ
気持ちを起こさせるのだと思います。


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