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もしかしてその笛は?

2019年12月23日(月) 溝の口「湖月会」(第138回)

平成の時には今日は天皇誕生日でした。令和となった今年はもう
平日です。

このクラスは、第2金曜日クラスと足並みを揃えていますので、同じ
箇所(第46帖「椎本」の冒頭部分)を読みました。

初瀬詣の帰途、宇治に立ち寄った匂宮一行は、夕霧の別荘(今の
平等院辺りと考えられている)を宿とし、夕方から管弦の遊びが
始まりました。

その楽の音色は、宇治川の対岸にある八の宮邸にも聞こえてきます。
八の宮が昔を懐かしんで耳を澄ましておられると、見事な横笛の音が
届いて来て、八の宮は「誰が吹いているのだろう。源氏の君(八の宮の
兄)の横笛は情趣に富み、心そそられる音色だった。これはもっと澄み
切った格別の風情がある。致仕の大臣(柏木の父)の一族の笛の音に
似ているようだ」と、独り言をおっしゃるのでした。

読者はここで、この笛を吹いているのは当然薫だ、と察しが付きます。

そして、もしかしてこれは、あの柏木の遺愛の横笛ではないか、との
思いを巡らす方もいらっしゃるのではないでしょうか。

第39帖「横笛」で、夕霧が、柏木の未亡人・落葉の宮の母(一条御息所)
から横笛を貰い受けた夜、夢枕に立った柏木は「その笛を伝えたい人は
他にいる」と告げました。夕霧が父・源氏にその話をすると、思い当たる
ところのある源氏は、自分がその笛は預かろう、と言いましたね。

あれからあの笛はどうなったのか、おそらく源氏が薫に与えたであろう
ことは想像できるのですが、ここで「ああ、きっとあの笛だろう」とわかり
ます。

でもまだはっきりそうだ、と言っているわけではありません。最終的に
それがわかるのは、第49帖「宿木」で、今上帝の女二の宮と結婚した
薫が、藤の宴の席で、見事に横笛を吹き立てた時です。ここで作者は、
その笛が柏木の遺愛の笛であることを、読者にも知らせます。

今回読んだ場面が、この「宿木」の巻の場面に繋がる伏線になっている
のですね。


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