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見なければよかった・・・源氏の思い

2019年12月26日(木) 溝の口「紫の会・木曜クラス」(第45回・№2)

今年最後の講読会となりました。特に秋以降、体調不良に見舞われ
ながらも、なんとか休講無しで、この一年も除夜の鐘と同じ数の108回
の講読会(「源氏物語」96回、「枕草子」12回)をこなすことができました。
これも偏にご参加くださった皆さまのおかげです。

今月の「紫の会」は、第9帖「葵」の後半、葵の上の死と、残された人々
の様子を記したところを読みました。

葵の上を失い、生前夫婦としての絆を深めることができなかったことを
悔やむ源氏ですが、それでも、葵の上は、そうした早世する運命だった
のだ、と諦めざるを得ません。

一方、葵の上との車争いに端を発し、生霊となって葵の上を死に至ら
しめた六条御息所からも、弔問のお手紙が届きます。紙の色、筆跡、
文面、手紙が付けてある花の枝に至るまで、全てにおいて行き届いた
御息所からの手紙だけに、さすがに、投げ捨てる気はしません。でも、
あの時の生霊となった御息所のことを思い出すと、その弔問のお便り
自体が、白々しく感じられます。

ここで源氏は、「何にさることを、さださだとけざやかに見聞きけむ」
(どうしてあんなことをまざまざと見聞してしまったのだろう)と残念に
思います。御息所を厭わしく感じることを打ち消すことは出来ない、でも、
妻を死に追いやった犯人として責め切ることも出来ない、それが源氏の
御息所への感情なのです。

ですから、御息所が娘の斎宮と一緒に野宮にお移りになり、その風流さに
心惹かれて殿上人たちが日参しているとの噂が伝わって来ると、源氏は
「もし世の中に飽き果てて下りたまひなば、さうざうしくもあるべきかなと、
さすがにおぼされけり」(もし自分との仲に見切りをつけて伊勢に下向して
しまわれたなら、物足りなくなることだろうなぁと、さすがにお思いになって
いた)、となるのですよね。

『源氏物語』では、女君たちの苦しみ、哀しみに比べて、男君たちは総じて
身勝手に映ります。それは作者が、現実社会で痛感していたからなのかも
しれません。

本日の講読箇所のストーリーは、12/9の「葵の巻・全文訳(9)」と、今日
先に書きました「葵の巻・全文訳(10)」を併せてお読みいただければ、と
存じます。


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コメント

No title

ばーばむらさきさま。お元気で今年の講座を終わられましたとのこと、何よりのことと存じます。今年も後数日で終わろうとしております。母が亡くなった年、「源氏物語」をどうにか読み終えた年、今まで経験しなかった、大きな台風が襲来した年、2019年は忘れられない年となりそうです。

今年も有難うございました。改めてお礼申し上げます。「源氏物語」に、このままサヨナラしたら徐々に忘れていくに違いないという怖れもあって、未だに関連本を手放せずにいます。女君たちがますます身近になっていくような気がすると共に、何だか“光源氏”という男も哀れだなあという思いも湧いてきます。

ご本の上梓、楽しみにしております。

2020年が健康で明るい一年でありますようお祈りいたします。

No title

萩原さま

今年もいよいよ数え日となりましたね。コメントが戴けてとても嬉しいです。

昨日、萩原さまもよくご存知のとても懐かしいお方が、溝の口の「紫の会」にいらしてくださいました。私も50年ぶりにお会いいたしましたが、半世紀の歳月など何のその、一足飛びに遡ってafterのお茶に興じました。

本来なら、この年末に本も出来上がっているはずでしたが、夏に無理をして懲りたので、校正はあまり無理をせずにやることにしました。明日最終校が届くことになっていますので、早くても1月末、2月にずれ込むかも知れません。お読みいただくのも恥ずかしいレベルのものですが・・・。

何かと慌ただしい年の瀬でございます。どうぞご自愛の上、よいお年をお迎えくださいませ。

明年も引き続きよろしくお願いいたします。


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こんにちは

いつも拝読させて頂いております。なかなかコメント書けずにすみません。

古典は好きです。でもがっつり源氏物語を最後まで読み解いたことはなく・・・。
いつも勉強になります。やっぱり古典は面白いですね。正直、清少納言よりも好きです。
ブログを通して、こうしてお知り合いになれたこと、嬉しく思います^^
どうぞ、これからも宜しくお願い致します。
良いお年をお迎え下さい^^

No title

冬灯さま

こんばんは~。私も冬灯さまの多才なブログを楽しく読ませていただいております。同じ相模の国の住民のようですし(笑)。

「源氏物語」はとっても長くて、全部読み通すのはなかなか大変なことですが、やはり日本文学の最高峰だと、マニアの私は思っています。いつか「がっつり最後まで」読み解いてみてくださいませ。まだお若い冬灯さまですから、ゆっくりと、ゆっくりと。

こちらこそこれからもよろしくお願いいたします。

どうぞ良いお年をお迎えくださいませ。


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