どちらが真実?
2020年1月17日(金) 溝の口「枕草子」(第40回)
早くも1月半ば過ぎ。ここまで暖冬で推移して来ましたが、明日は
この辺りにも雪の予報が出ています。
今日の「枕草子」は、第225段~第228段までを読みました。
第227段は、長保2年(1000年)の2月20日過ぎ、中宮定子(2月
25日には、道長の娘・彰子が中宮に立后したため、定子は皇后と
なった)が、最後に一条天皇と共に過ごした宮中(前年に内裏が
焼失したので、この時は一条院が今内裏となっていた)での
仲睦まじい様子を記した段です。
「すけただ」という木匠から蔵人になった人物は、「あらはこそ」
(あらすけさん)とあだ名され、そのがさつでどうしようもない人柄を
節を付けた歌にされて、皆から馬鹿にされていました。
一条天皇までが、それを面白がられて節を笛で吹いたりなさるの
でした。清少納言ら女房たちも調子に乗り、天皇さまに、「もっと
大きな音を出してお吹きくださいな。本人が聴きはしませんから」と、
申し上げるのですが、帝は「いや、わからないよ。そうは言っても
きっと聴きつけることだろう」と言って、そっとお吹きになっていました
が、今日は、壺庭を挟んで北側にある定子のお部屋に来ておられた
ので、「ここなら大丈夫だね、よし、思いっきり吹こう」と、おっしゃって
お吹きになりました。それを作者は「いみじうめでたし」(とても素晴ら
しうございました)と、結んでいます。
陽も「うらうらとのどかに照りたる」とあります。一条天皇に寄り添い、
そうした帝のいたずら心を、ほほ笑んでご覧になっている中宮定子
の姿が目に浮かんでくる場面です。
でも、『栄花物語』を読むと、この頃の中宮周辺に、明るさは皆無です。
ご自分がまた懐妊なさったのではないかと、くよくよ悩んでおられる
のです。「今年は厄年で、宿曜(道教の星占い)でも心細いことばかり
なのに、懐妊がはっきりしたら、どんなに心細いことか」とおっしゃって
いた、とあります。『栄花物語』は歴史物語ですが、この懐妊した御子
の出産で定子が命を落とされたことも分かっていて書いていますし、
道長の栄華を書いているのですから、このような表現になっていても
不思議ではありません。
どちらが定子の本当の姿だったのでしょうか?どちらも本当で、作者たち
の視点だけが異なっていたのかもしれませんね。
早くも1月半ば過ぎ。ここまで暖冬で推移して来ましたが、明日は
この辺りにも雪の予報が出ています。
今日の「枕草子」は、第225段~第228段までを読みました。
第227段は、長保2年(1000年)の2月20日過ぎ、中宮定子(2月
25日には、道長の娘・彰子が中宮に立后したため、定子は皇后と
なった)が、最後に一条天皇と共に過ごした宮中(前年に内裏が
焼失したので、この時は一条院が今内裏となっていた)での
仲睦まじい様子を記した段です。
「すけただ」という木匠から蔵人になった人物は、「あらはこそ」
(あらすけさん)とあだ名され、そのがさつでどうしようもない人柄を
節を付けた歌にされて、皆から馬鹿にされていました。
一条天皇までが、それを面白がられて節を笛で吹いたりなさるの
でした。清少納言ら女房たちも調子に乗り、天皇さまに、「もっと
大きな音を出してお吹きくださいな。本人が聴きはしませんから」と、
申し上げるのですが、帝は「いや、わからないよ。そうは言っても
きっと聴きつけることだろう」と言って、そっとお吹きになっていました
が、今日は、壺庭を挟んで北側にある定子のお部屋に来ておられた
ので、「ここなら大丈夫だね、よし、思いっきり吹こう」と、おっしゃって
お吹きになりました。それを作者は「いみじうめでたし」(とても素晴ら
しうございました)と、結んでいます。
陽も「うらうらとのどかに照りたる」とあります。一条天皇に寄り添い、
そうした帝のいたずら心を、ほほ笑んでご覧になっている中宮定子
の姿が目に浮かんでくる場面です。
でも、『栄花物語』を読むと、この頃の中宮周辺に、明るさは皆無です。
ご自分がまた懐妊なさったのではないかと、くよくよ悩んでおられる
のです。「今年は厄年で、宿曜(道教の星占い)でも心細いことばかり
なのに、懐妊がはっきりしたら、どんなに心細いことか」とおっしゃって
いた、とあります。『栄花物語』は歴史物語ですが、この懐妊した御子
の出産で定子が命を落とされたことも分かっていて書いていますし、
道長の栄華を書いているのですから、このような表現になっていても
不思議ではありません。
どちらが定子の本当の姿だったのでしょうか?どちらも本当で、作者たち
の視点だけが異なっていたのかもしれませんね。
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