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「若紫」から「紫の上」になる

2020年8月17日(月) オンライン「紫の会・月曜クラス」(第1回・通算48回・№2)

溝の口の「紫の会」も、今月からオンラインでの講座を開始しました。
今日がその1回目です。オンラインでは一度に20人は多い感じがしますし、
これまでも、第2月曜日と第4木曜日の二クラスに分けてやってきたので、
オンライン参加の人数はちょうど一クラス分位ですが、従来通り二クラスで
行うことにしました。

本日の講読箇所の中心は、若紫が紫の上(「上」というのは、貴人の妻に
対する敬称)となり、一夜明けたのちの紫の上の羞恥心からくる困惑、
これまで父か兄のように慕って来た源氏に裏切られた思いからくる嫌悪感、
それが見事に活写された場面です。

若紫が源氏に引き取られてちょうど4年が経ち、若紫も14歳になっています。
これまでただ可愛い少女、として慈しんできた源氏も、夫婦となる機が熟した、
と考えます。

ある日、源氏は早くに起きて、紫の上(ここから呼称を「紫の上」とします)は
いつまで経っても起きてこない、という朝がありました。

これまでもずっと二人は同じ御帳台(天蓋付きのベッド)で寝ていたので、
女房たちもこの日を境に夫婦関係になった、とは気づいていません。

源氏がご自分のお部屋(東の対)にお渡りになってから、紫の上は思います。
「かかる御心おはすらむとは、かけてもおぼし寄らざりしかば、などてかう
心憂かりける御心を、うらなくたのもしきものに思ひきこえけむと、あさましう
おぼさる」(源氏にこんなことをなさるお心があったとは、思いも寄らなかった
ことだけに、紫の上は、どうしてこんないやらしいお心を、疑いもせず、心底
お頼りする気になっていたのであろう、と、とてもあきれたことにお思いでした)。

必要な通過儀礼であったとは言え、純真無垢な少女にとって、気持ちの整理
がつかない初体験の驚きと悔しさが、実に鮮やかに表出されていると思います。

お昼頃になって、源氏がこちら(西の対)にいらしても、紫の上は、夜着を頭
から被って、汗びっしょりになって寝ています。源氏が残して行かれたお歌にも
勿論返歌などありません。あれこれとご機嫌を取ろうとしても、紫の上は一言
の返事もせず、ご機嫌が直る様子は全く見られませんでした。その紫の上の
拗ねている姿は、源氏の目に「らうたし」「らうたげなり」と映るのでした。
繰り返し「らうたし」(ああ、なんて可愛いんだ、という心情表現)を使うことで、
源氏が新妻となった紫の上を愛しく思う気持ちが、読者に直に伝わってきます。

この場面を詳しくお読みいただくには、先に書きました全文訳(⇨⇨こちらから)を
ご覧くださいませ。


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