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清少納言の一番嬉しいもの

2020年9月18日(金) オンライン『枕草子』(第2回 通算第43回)

今年の彼岸の入りは明日19日。「暑さ寒さも彼岸まで」とはよく言った
もので、今日が暑さ納めとなるのでしょうか。明日からはもう真夏日に
なることもなさそうですし、いよいよ秋本番ですね。

オンライン『枕草子』の2回目、つくづく思うのは、オンライン講座での
音読を一人ずつ順番に読んでいただく形にして良かった、ということ
です。本当に皆さま、情感豊かに読まれるので、「ああ、もうしっかりと
内容も把握して読んでおられるのだなぁ」と聴いておりました。

今回は第256段~第259段迄を読みました。第258段は「嬉しきもの」
という類聚章段で、いろいろと作者が「嬉しい」と思うものを挙げている
のですが、やはり清少納言にとって一番嬉しいことは、中宮さまに誰
よりも目をかけていただいているのが実感できる時だったのでありま
しょう。次の第259段は、それを具体的に記した段となっています。

清少納言は、嘗て中宮さまの御前で、「もう生きてる甲斐もないわ、と
思われるような時でも、白い良質の紙が手に入ったり、綺麗な高麗縁
(こうらいべり)の茣蓙を目にしたりすると、やっぱり人生捨てたもんじゃ
ない、と命までもが惜しくなるんですよね」と、語ったことがありました。

その後、清少納言は道長方に通じている人間だと仲間の女房たちに
誤解され、宮仕えが嫌になって、長く里下がりをしていることがありま
した。

もうその頃には、言った本人も忘れてしまっていたのですが、中宮さま
から、先ずは白い紙が20枚届けられました。更に二日後には、綺麗な
高麗縁で縁取られた茣蓙が作者の許に届いたのです。

「どんなにムシャクシャする時でも、この二つがあれば生きて行ける」
との清少納言の発言を、しっかりと覚えていて、「さあ、これで元気を
お出し」と、励まそうとしてくださる中宮さまでした。ご自身も父の関白・
道隆亡き後、兄・伊周は道長との政争に敗れ、おまけに弟・隆家と共
に花山院奉射事件まで起こして左遷され、中宮さまも自ら髪を切って
落飾した辛い時期だったにも拘らず、です。

中宮定子の不遇については一文字も記すことなく、ひたすら中宮さま
への敬愛の念のみを書き綴った作者の意地とも言える執筆姿勢に、
二人の深い絆と同時に、『枕草子』という作品が、中宮定子への
オマージュであることを改めて認識させられる段であろうか、と思われ
ます。


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